作家のエージェントって何? 『ドラゴン桜』『宇宙兄弟』の編集者に聞く:これからの働き方、新時代のリーダー(前編)(6/6 ページ)
漫画『ドラゴン桜』などヒット作を手掛けてきた編集者がいる。その名は、佐渡島庸平さん。昨年まで講談社で働いていたが、エージェント集団「コルク」を立ち上げた。聞き慣れない「作家のエージェント」とはどんな仕事なのか。本人に直撃した。
佐渡島:基本的に読み切り。また米国人はアニメを先に見て、それから本で読む。しかもオールカラー。なので日本の漫画を読むと「なぜ白黒なの?」と感じてしまう。
土肥:日本では雑誌や本を読んでから、アニメを見る人が多い。順序が逆ですね。
佐渡島:海外で売るためにはオールカラーにしなければいけないとか、歯抜け状態にならないためにはどうすればいいかとか、さまざまな問題がある。でも電子書籍の登場で、海外でも漫画を販売することができる……初めてのチャンスがやって来たと思っています。
土肥:おおー。じゃあ、これからはじゃんじゃん売っていけるわけですね。
佐渡島:いえいえ、そんなに簡単な話ではありません。翻訳は誰がするのか、という問題もあるんですよ。日本は輸入文化なので、翻訳者の地位が高い。でも米国は違っていて、日本語ができる翻訳者の地位が低い。
土肥:漫画のニュアンスをうまく伝える翻訳者が少ないということですか。
佐渡島:まだ市場が小さいので、翻訳費が安い。安いから人が増えない。いい翻訳ができないから、漫画が売れない――。
土肥:負のスパイラルに陥っているわけですね。じゃ、どうやっていけばいいのでしょうか。指をくわえているだけ、というわけにもいきませんし。
佐渡島:私たちとしては、やることをやっていくしかありません。まずは経済産業省の支援を受けて、翻訳費の半分を負担してもらうことにしました。残りの半分をコルクが出して、電子書籍を出す予定にしています。
土肥:なるほど。では、次にこんな質問を。会社を立ち上げられて1年が経ちました。実際に働いてみて、想像と違うなあということってありましたか。
佐渡島:ありましたね。それは……。
(つづく)
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