「草食なOTAKU」――日本男子は仕事で出世できないらしい:伊吹太歩の時事日想(1/3 ページ)
英ガーディアン誌が「なぜ日本人はセックスをしなくなったのか」という記事を公開した。この話題は欧米のネット上に瞬く間に広がった。日本の若者はどんな目で見られているのか?
著者プロフィール:伊吹太歩
出版社勤務後、世界のカルチャーから政治、エンタメまで幅広く取材、夕刊紙を中心に週刊誌「週刊現代」「週刊ポスト」「アサヒ芸能」などで活躍するライター。翻訳・編集にも携わる。世界を旅して現地人との親睦を深めた経験から、世界的なニュースで生の声を直接拾いながら読者に伝えることを信条としている。
2013年10月中旬ごろ、欧米のネット上で日本についての話題が盛り上がった。なぜ日本人はセックスをしなくなったのかというものだ。
きっかけは、英ガーディアン紙の「なぜ日本の若い人たちはセックスを止めてしまったのか(参照リンク)」という10月20日付けの記事だった。著者のアビゲイル・ハワース記者は、マリー・クレールという女性誌の編集記者で、これまでも女性問題や結婚などについての記事を多く執筆している。
「日本では独身者が記録的な数に達している」――この記事では2011年の調査を核として18〜34歳で未婚男性の61%、女性では49%が恋愛相手はいないことが分かったと紹介している。これが別のメディアにも取り上げられ、あちこちで話題になったのだ。
日本の若者の草食化が世界でも気になっている!?
この調査結果自体、発表時に日本でも話題になっていた。それが今ごろになって世界で注目されたわけだが、確かに数字だけをみると「おいおい日本の若者は大丈夫なのか」との声が上がり、話題になるのも理解できる。
もう一度、ガーディアンの記事を見てみたい。未婚の18〜34歳で恋愛相手はいない男女は、5年前から約10%増えている。しかも30歳以下の未婚男女のうち3分の1が人生でデートを1度もしたことがないとの調査結果もある。
さらに16〜24歳の女性の45%は、性的な接触に興味がない、または嫌悪している。同年代の男性を見ても4分の1は性的な接触に対して同様の感覚を持っている。また、現在20代前半の女性の4分の1は、生涯結婚をしない可能性があり、子供を持たない可能性は40%だ、という分析データも紹介している。
ただ記事に使われている統計には突っ込みを入れたくなる部分もある。日本人にとってセックスは「秘め事」であり、統計やデータに必ずしも実態は反映されないと考えられる。そもそも日本は、若い女性が「私、性的な接触にめちゃくちゃ興味ある」なんて認める文化ではない。
未婚男女の統計についても、同性愛者だっているし、風俗や出会い系サービスなどでデートをしなくてもセックスはしている人もいると考えられる。シングルマザーだって日本では増えている。こうした無視できない要素は記事には含まれていない。
ともかく、日本人の若者が「草食系」になっているらしいというのは今や日本人なら誰もが知っている話だが、世界では新鮮で目を引く話だろう。
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