社会を変えることができる? ミュージカル+NPOに期待:不思議な組み合わせ(2/2 ページ)
ミュージカル活動を軸にしたNPO法人があることをご存じだろうか。それはNPO法人「コモンビート」という団体。具体的にどんなことをしているのだろうか。
キャスト3000名、観客動員数10万人というのは相応の数だが、キャストや観客などを集めるにあたっては、特別なことはしていないと言う。しかしよく聞くと、“公演”を起点とし、そして徹底的にプログラムのクオリティにこだわることにより、実際に参加したキャストや公演を観た観客が周囲に口コミで広げてくれるなど好循環ができているようだ。
また同団体のような活動は、言葉だけで説明するのが難しく誤解も招きかねないため、まずは公演を実際に観てもらうのが一番だと考え、知り合った人にはまずは一度公演に来てもらってプログラムを実際に観覧してもらうように働きかけているそうだ。
それはメディアに対しても同様で、どこかからか話を聞きつけて取材をしたいと依頼されるケースもあるそうだが、その場合もやはりまずは公演を観てもらったうえで取材対応するようにしている。ちなみにテレビ局から「100日間密着取材したい」という話が来ることもあるそうだが、100日間密着されることにより、運営に支障をきたしてしまったり、100日間の内容を数分程度にまとめられてしまうと偏った内容になってしまう懸念があったりするので、基本的にテレビ取材については断るようにしているそうだ。
つまり“公演”をすべての起点として、その場のリアリティ感や空気感を体感してもらうことで、そこからの波及効果や理解・共感醸成を図るとともに、それらに影響があることは、メリットとデメリットを考慮の上、慎重に対応する。これが同団体のコミュニケーション活動の基本スタンスと言えよう。
そんなコモンビートだが、アジア各国の人たちとの交流を図るためのプロジェクトとして「アジアンビート」や、農山村地域と都会の若者との交流を通じてお互いに新たな気づきを発見する「もざいくプロジェクト」を発足させるなど、今後はグローバルやローカルなど横展開を進めながら活動領域を広げていきたいとのこと。
“ミュージカル”で社会を変える、その取り組みがどう広がっていくのか、今後も同団体の展開に注目していきたい。(小槻博文)
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