「面白いなあ」と思うCMが、なぜ減っているのか:仕事をしたら“面白い広告”ができた(2/5 ページ)
その昔、会社や学校で「○○のCMって、面白いなあ」という会話があったが、最近はめっきり減ってしまった。その理由について、これまで数多くのCMを手掛けてきた、電通CDCの高崎卓馬さんに聞いた。
山田洋次監督にシゴかれる
土肥: 高崎さんと私は、同じ1969年生まれ。子どものころに放送されていたCMって、テレビ番組に匹敵するくらい面白いものがたくさんありましたよね。学校でもCMの話題になることが多く、もしそれを見ていなかったら友だちの輪の中に入っていけないような雰囲気がありました。
高崎さんは20年ほど広告……その中でもテレビCMの制作に携わってこられましたが、全体的に“広告が面白くなくなったな”といった感覚はありますか?
高崎: 昔のCMは、時代をリードするような作品がたくさんありました。では、なぜ最近はそうした作品が少なくなったのか。原因はいくつかあるのですが、そのひとつに制作側がCMに登場する俳優をうまく使いこなせていないのではないでしょうか。
土肥: なぜそう思われるのですか?
高崎: この2年間、映画監督の山田洋次さんと一緒に仕事をさせていただく機会が多いんですよね。山田さんには徹底的にシゴかれていて、ある日、このように言われました。「誰が演じても面白いと感じる作品をつくってはいけない。この俳優がやるから“面白い”と感じる作品をつくらなければいけない」と。
山田さんは何を言いたかったのか。道を歩いてころんだ、ドブに落ち込んだ……といったことは、誰にでもでき、簡単に笑ってもらえる。誰が演じてもそこそこ面白いというのは、笑いのレベルが低い。いまのCMは、たまたまその俳優が演じているだけ、といった作品が多いのではないでしょうか。そうではなく、ある俳優を使うと決めたときには、“その人がやるから面白い”というシナリオを考えなくてはいけないと思うんですよね。
あと、全体的に表現が幼稚になってきているのではないでしょうか。
土肥: 幼稚? どういうことでしょうか?
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