「面白いなあ」と思うCMが、なぜ減っているのか:仕事をしたら“面白い広告”ができた(4/5 ページ)
その昔、会社や学校で「○○のCMって、面白いなあ」という会話があったが、最近はめっきり減ってしまった。その理由について、これまで数多くのCMを手掛けてきた、電通CDCの高崎卓馬さんに聞いた。
高崎: テレビを見ている人と見ていない人の間に、大きな壁ができていると感じています。ある情報に対して、知っている人は知っているけど、知らない人は知らない。そんな現象が起きていると思うんですよね。自分のTwitterやFacebookのタイムラインに流れている情報=世の中、といった感じで。自分のタイムラインと隣に座っている人のタイムラインは違う、ということは頭で分かっていても、体感的に理解していないのではないでしょうか。
インターネットが普及する前は、テレビ、新聞、雑誌を読んでいる人が多かった。なので、そこに大きな壁は存在していませんでした。誰がどんなテレビ番組を見ているのか、誰がどんな新聞を読んでいるのか、誰がどんな雑誌を読んでいるのか、といったことがなんとなく分かっていた。しかし、今は誰がどんな情報を手に入れているのかが、見えにくくなっていますよね。
こうした現象が起きているので、クライアントは「20%増量」を強調したいわけなんですよね。
土肥: ん? どういうことでしょうか?
高崎: 「20%増量」とハッキリ書いたほうが、情報が情報のまま伝わるということです。
土肥: 表現にあまり期待しなくなった、ということですか。
高崎: 感情的な情報はいらなくて、ただの情報であればいい――そんな傾向が強くなってきていますね。
土肥: そうした流れが出きてくると、ちょっとマズいですよねえ。広告には鉱脈が眠っているはずなのに、掘り当てようという山っ気のある人が減ってくるのではないでしょうか。
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