JR北海道は今、何をすべきか――西武鉄道にヒントあり:杉山淳一の時事日想(4/5 ページ)
JR北海道の一連の整備不良問題は、ついに会社全体の不祥事となってしまった。監督官庁である国土交通省は特別保安監査を無期限で実施するという異例の処置をとっている。正すべきは正し、その後のJR北海道はどうすべきか。
このほか、子ども向けに電車をかたどった弁当箱を販売したり、車両基地の公開イベントを年間に何度も開催したりと、沿線のファミリーや鉄道ファンへの取り組みも積極的だ。この一連の「スマイルプロジェクト」が始まった時期は、私がWebメディアの鉄道ニュース担当として毎日のようにニュース記事を書いていたころと一致する。当時、西武鉄道から届くプレスリリースが最も多く、毎週1本か2本、それ以上の時もあった。予算や他社の情報とのバランスもあり、すべて掲載しきれなくて申し訳ないと思った。
私の西武鉄道への好感度にはこんな事情もあるわけだが、客観的に見ても西武鉄道への好感度は良くなっていると思う。もともと鉄道自体に失点はなかったから、イメージアップへの取り組みはそのままプラスになっているとも言える。ただし、数字で見るとちょっと厳しい。企業の人気度のバロメーターとして、就職活動する大学生の人気調査がある。ランキング上位にJR東日本、JR東海、小田急電鉄、東急電鉄などの社名が並ぶが、西武鉄道はない。これはやはり上場されていない点が響いている。
沿線ブランドの目安として、住宅情報誌のランキングを見ると(参照リンク)、2012年の総合ランキング「住んでみてよかった沿線」の12位に西武池袋線、14位に西武新宿線が入っていた。「住みたい」のほうはなかったが、住んだ人からの満足度の高さはうかがえる。鉄道に対する好感度もその一助になっているかもしれない。
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