今、農業に必要なことは? 農家は「考える」ことを止めさせられた:仕事をしたら“農業の今”が見えてきた(3/6 ページ)
「農業」と聞いてどんなことを想像するだろうか。「高齢者が作業をしている。変化がほとんどない」と思うかもしれないが、今、私たちの知らないところで“新しい動き”が出始めているのだ。それは……。
農業の世界にも転機があった
土肥: 農業の世界にも転機があったということですが、素人がいきなり農業を始めるのは難しいですよね。
西辻: いや、実はそうでもなくて、めちゃめちゃ手厚いんですよ。ドイさんが農業を始めようと思われたら、どうすればいいか。どこかの農業生産法人(農業を営む法人)に研究生として登録すれば、月10万円のお小遣いがもらえるんですよ。
土肥: な、なんですか、それはっ。ちなみに私の小遣いは……あ、いや、そういう話じゃなくて。
西辻: 「青年就農給付金」という制度があって、これをうまく活用すればいいんですよ。また農業を始めようという人に対し、いま銀行が「お金を貸そう、お金を貸そう」としています。以前はどうだったのか? 農林中央金庫やJAバンクがあるので、農家が銀行からお金を借りるのは“ご法度”だったんですよ。
土肥: なんだか古臭い慣習の香りがプンプン漂ってきますね。農業界ではご法度だったことが、なぜいま堂々と行われているのでしょうか。
西辻: 国の力が大きいですね。安倍政権になって、成長戦略の中に農業が入りました。農家の所得、生産額、輸出額――いずれも今後10年で「倍増」という目標を掲げました。こうした動きを受け、銀行は融資に力を入れ始めました。
また農業生産法人に対しても、手厚くなっているんですよね。正社員を雇用すると、1人につき月9万円もらえるんですよ。これは国からの補助金という形ですね。
土肥: おおー、手厚い。こういう制度を知らないで、「じゃ、農業でもやってみるか」といった感じで始めると、ものすごく“損”しますね。
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