今、農業に必要なことは? 農家は「考える」ことを止めさせられた:仕事をしたら“農業の今”が見えてきた(5/6 ページ)
「農業」と聞いてどんなことを想像するだろうか。「高齢者が作業をしている。変化がほとんどない」と思うかもしれないが、今、私たちの知らないところで“新しい動き”が出始めているのだ。それは……。
「農業を学ぶ」動き
土肥: 西辻さんは「農業を学ぶ」ことに力を入れてこられました。「農業を学ぶ」動きは広がっていて、例えばパソナなどでも大学校を開校されています。
西辻: 今後もこうした動きは広がっていくと思います。なぜかというと、いま国は農業にものすごく力を入れているから。先ほども申し上げましたが、成長戦略の中に農業が入りました。「日本は健康野菜をたくさん作っていますよ。他の国より味が濃くておいしいですよ」ということになれば、野菜を作っている人たちの収入が増える。そうした人たちを見て、自分もやってみようという人が増える。そこでどうやって始めるかとなったときに、昔のような“丁稚奉公”ではなく、“学校で学びたい”という人が増えてくるのではないでしょうか。
土肥: 少しイジワルな質問をしますね。とはいえ西辻さんが運営されている学校をみると、履修期間は1年間ですよね。ちょっと学んだだけで、「さあお前は一人前だ。そこの畑でおいしい野菜を作ってこい」と言われても、生徒は困ってしまうのではないでしょうか。
西辻: 農業の世界ではこのように言われています。「10年で一人前だ」と。10年間、ほうれん草を作り続けて、農家としてやっと一人前になれるという意味です。
ただ、私はそうではないと思っています。10年間ほうれん草を作り続けるのではなく、1年間農業の基礎を座学と実習で学びながら、ビジネス知識を得る。そこから自分がうまくいきそうなことを見つけて、実際にやってみるほうが効率がよいのではないでしょうか。
土肥: なるほど。ちなみに私のようなサラリーマンが週末に野菜をつくることによって、どんなことが学べるでしょうか?
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