「インフラ友達」がいますか? おひとりさま時代を生き抜くための友人関係:博報堂・吉川昌孝のデータで読み解く日本人(1/4 ページ)
TwitterやFacebookなどを利用している人は、友達の数が急拡大しているのではないでしょうか。そんな時代だからこそ、「誰を友として生きるのか」は重要な問題。今回は、おひとりさま時代を生き抜くための友人関係について紹介します。
博報堂・吉川昌孝のデータで読み解く日本人:
30年以上にわたり生活者を研究し続けてきた「博報堂生活総合研究所(生活総研)」。同研究所の主席研究員である吉川昌孝氏が、生活総研オリジナル調査「生活定点」などのデータを用いて、“時代の今とこれから”を読み解きます。
「生活定点」とは、1992年から20年間にわたって隔年で実施している時系列調査。衣食住から地球環境意識に至るまで、人々のあらゆる生活領域の変化を、約1500の質問から明らかにしています。現在、生活総研ONLINEで20年間のデータを無償公開中。こうした生活者データから得られる“ターゲット攻略のヒント”はもちろん、ビジネスパーソンの日々の仕事に役立つ“データを読み解く技術”などもご紹介していきます。
著者プロフィール:吉川昌孝
博報堂生活総合研究所研究員、および動態研究グループ・グループマネージャー。1965年愛知県生まれ。慶應義塾大学商学部卒、同年、博報堂入社。マーケティングプラナーとして得意先企業のマーケティング戦略立案業務を担当。2003年より生活総合研究所客員研究員となり、2004年より生活総合研究所に異動。2008年より未来予測レポート『生活動力』のプロジェクトリーダー。著書に『亞州未来図2010−4つのシナリオ−』(阪急コミュニケーションズ・共著)、『〜あふれる情報からアイデアを生み出す〜「ものさし」のつくり方』(日本実業出版社)などがある。2008年より京都精華大学デザイン学部非常勤講師。
童謡「一年生になったら」は“ともだち100人できるかな?”で始まりますが、今や500人、1000人の友達がいても珍しくない時代。SNSなどが、友達の数を急拡大させています。一方、前回お伝えしたように、私たちの時系列調査「生活定点」の「友人は多ければ多いほどよい」の回答率は10年以上にわたり大幅に下降中。人間関係が自然に拡大してしまう時代だからこそ、「誰を友として生きるのか」は重要な問題です。今回のテーマは、おひとりさま時代を生き抜くために必要な「かけがえのない使える人々」=「インフラ友達」。その誕生の背景から具体的な中身まで、友人関係のこれからについてご紹介します。
「ひとり時間」が伸びてます
今、日本人の「1人で過ごす時間」が増加しています。総務省社会生活基本調査によると、日本人(10歳以上)1人当たりの1日における「1人で過ごす時間(睡眠除く)」の平均値は、1996年から2011年にかけて31分増加し現在320分。睡眠以外で実に5時間以上の時間を1人で過ごしていることが分かります。
世帯タイプで見れば、単身世帯が全世帯中30%を超えトップになり、標準世帯と呼ばれる「夫婦+子供」世帯を上回りました。標準世帯は既に標準ではないと言っても過言ではありません。特に高齢化の影響で高齢単身世帯が増加。晩婚化、未婚化の進展で生涯未婚率も恒常的に上昇中。これほど1人暮らしの人が多く、一生の中でも1人で生活する期間が長いという社会は、国勢調査が始まった1920年以来初めてだと思われます。
また、標準世帯でも「ひとり時間」の増加とは無縁ではありません。共働き夫婦の増加、3世帯同居の減少、スマートフォンやタブレット端末の普及で、家族と一緒に暮らしている人でも、家庭内の単身時間が確実に増加していると思われます。お父さんがリビングで新聞を読み、娘はスマートフォンをいじりながら大型テレビでドラマを見て、息子は自室にこもりタブレット端末でネット、お母さんはダイニングで小型液晶テレビを見ている、というように一緒にいてもバラバラに過ごしている状況は、それほど珍しいことでもないでしょう。
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