住民投票での決着になるのか――宇都宮市のLRT計画:杉山淳一の時事日想(2/6 ページ)
LRT(軽量軌道交通、新型路面電車)導入を推進してきた宇都宮市で、ついに市長が2016年度着工の意向を示した。導入反対の立場を取る「民意なきLRT導入を阻止する会」は住民投票を求めて署名運動を展開している。LRTの賛否、民意はどちらにあるのか。
一方、約383億円の整備費用と未明の付帯整備費の加算を問題として、LRTに反対する意見も根強い。「民意なきLRT導入を阻止する会」は、導入の是非を問う住民投票の実施を求める署名運動を11月8日から12月8日まで展開している。住民投票実施を議会に諮るには、市の有権者の50分の1にあたる署名が必要だ。下野新聞によると、本件の必要署名数は8307人となっている(参照リンク)。同会は13日に署名簿を提出する予定だ。登録された署名受任者は約1000人で、彼らが1人当たり8.4人以上の署名を集めれば議会に住民投票を提案できる。
宇都宮市のLRT建設については、2006年に民主党栃木県連が反対を表明し、2007年に3万1000人以上の署名を集めた。当時の勢いが残っていれば、有権者数約8500人の署名は集まりそうだ。署名による住民投票条例制定について、宇都宮市議会が承認すれば、LRTの建設について市民投票が実施され、ここで民意が明確になる。
過去3回の市長選でLRT推進派の市長が当選したとはいえ、選挙の争点はLRTだけではなかった。2008年に下野新聞がLRTについて実施した世論調査ではLRT反対が45%、賛成が17%。2008年の市長選で佐藤氏に投票した人のうち、LRT賛成は約23%、反対は約25%。無関心が約50%というデータもあるようだ(参考資料:宇都宮市LRT 導入計画の現状―推進派・反対派の見解の相違―)
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