『朝日新聞』の世論調査に?? 「特定秘密保護法」をぶっ潰す方法:窪田順生の時事日想(1/4 ページ)
特定秘密保護法を巡って、某新聞の編集委員が「メディアの対応も遅過ぎましたね」と語った。「対応」とは何なのか。筆者の窪田氏は首を傾げながら朝日新聞を開いたら、なんとなくその答えが見えてきたという。それは……。
窪田順生氏のプロフィール:
1974年生まれ、学習院大学文学部卒業。在学中から、テレビ情報番組の制作に携わり、『フライデー』の取材記者として3年間活動。その後、朝日新聞、漫画誌編集長、実話紙編集長などを経て、現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌でルポを発表するかたわらで、報道対策アドバイザーとしても活動している。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。近著に『死体の経済学』(小学館101新書)、『スピンドクター “モミ消しのプロ”が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)がある。
この週末、ある情報番組を見ていて、耳を疑うようなやりとりがあった。
先週金曜日に採決した特定秘密保護法について(関連記事)、この国はどうなってしまうのかと憂う司会者が「世論の高まるのが遅過ぎたんじゃないでしょうか」と述べたことに対し、某新聞の編集委員がこんなことをおっしゃっていたからだ。
「メディアの対応も遅過ぎましたね」――。
遅いというか、メディアの報じ方には首を傾げる点が多々あった。戦前の治安維持法で逮捕された人を引っ張り出して「戦争に逆戻りだ」と恐怖を煽(あお)らせたり、映画監督たちに「僕がつくった映画も上映禁止になりかねない」なんて言わせたり。国民が教えてほしいのは、よその国で安全保障を脅かす機密を漏らした公務員に一体どんな処罰があるのかとか、機密へのセキュリティを上げた場合、どうやって「知る権利」を確保しているのかということだが、そんなことはたいした問題じゃない、と切り捨てた。
てっきり、ピントのずれた報道でごめんなさい、とか懺悔(ざんげ)するのかと思いきや、編集委員が悔いているのは「対応の遅さ」。正直、異様なものを感じた。
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