世界を救うのは誰? “右脳系日本人”に期待する:新連載・グローバルエリートから見た世界(1/4 ページ)
2012年12月以降、日本は「アベノミクス」をスタートさせた。「中央銀行がマネーを刷り増しているのだから、これから起きるのはインフレだろう」などと思ってしまうかもしれないが、世界の流れは違う。これから襲って来るのは……。
著者プロフィール・原田武夫:
株式会社原田武夫国際戦略情報研究所(IISIA)代表取締役(CEO)
東京大学法学部在学中に外交官試験に合格、外務省に外務公務員I種職員として入省。12年間奉職し、アジア大洋州局北東アジア課課長補佐(北朝鮮班長)を最後に自主退職。在任中は、6カ国協議や日朝協議等に多数出席した。「すべての日本人に“情報リテラシー”を!」という想いの下、情報リテラシー教育を多方面に展開。自ら調査・分析レポートを執筆するとともに、国内大手企業などに対するグローバル人財研修事業を全国で展開する。
最新刊『ジャパン・ラッシュ――「デフレ縮小化」で日本が世界の中心となる』(東洋経済新報社)を2013年12月6日に上梓。2014年1月18日に東京で、同月26日には大阪で開催される「2014年 年頭記念講演会」で2014年の日本を見通す講演を行う予定。IISIA公式メールマガジン
グローバルエリートから見た世界:
金融メルトダウンに対し米国・欧州・日本が次々に歴史的な規模で「量的緩和」を行っているが、一向に出口が見えてこない。しかしそのような状況であってもグローバルエリートたちによる「新秩序の形成」は始まっている。
グローバルエリートたちは一体どういったコンセプトでこれからの世界を創ろうとしているのか? そうした中で、日本人は何を考え、どのように動けばいいのか? タイムリーな話題を切り口にして、日本人に足りない「新グローバル秩序形成に向けたコンセプト」を描いていく。
「世界はこれからデフレ化していく。そのスピードは加速する一方であり、何をしてももう止まらない」――。
2012年12月以降、日本は「アベノミクス」をスタートさせた。そんな日本で漫然と暮らしていると「中央銀行がマネーを刷り増しているのだから、これから起きるのはインフレだろう」などと思ってしまう。だがそれは大きな間違いだ。これから世界を襲うのは強烈なデフレ、すなわちとめどもないモノ・サービスの値段の下落なのである。
その理由はこれまで欧米が中心になって「インフレ拡大化」をやり過ぎてしまったということに尽きる。マーケットというとどうしてもやれ金利だ、統計だと小難しく語る人が多いが、実のところそんなことを考えることは二の次とすべきなのだ。大切なことはもっと別のところに1つだけある。
欧米を仕切る“グローバルエリート”たちが常に注目している原理原則。それが「ル・シャトリエの原理」――またの名を「復元力の原則」と呼ぶ。要するに「上げは下げのためであって、下げは上げのためである」ということだ。マーケットだけではなく、森羅万象、この世にある全てのものは基本的に「平衡」を旨としている。だからこそ一方から力が加わると、必ずその分だけ今後は逆に力が跳ね返されるようになっているのである。
つまり「もうかるから」といってマネーを刷りまくり、インフレを起こし続けた結果、今度は逆に何をやってもデフレスパイラルが続く時代がやって来たというわけなのである。そしてデフレなわけであるから、何をつくってもこれまでのように高く売ることはできない。しかもかつてとは違い、人件費の安いエマージングマーケットの諸国(中南米、東南アジア、中国、インド、東欧、ロシアなど)がプレイヤーとして加わっているので、事態をさらに悪くする。モノやサービスの差別化が難しくなり、一般的に価格が安くなる……いわゆる「コモディティ化」だ。
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