世界を救うのは誰? “右脳系日本人”に期待する:新連載・グローバルエリートから見た世界(2/4 ページ)
2012年12月以降、日本は「アベノミクス」をスタートさせた。「中央銀行がマネーを刷り増しているのだから、これから起きるのはインフレだろう」などと思ってしまうかもしれないが、世界の流れは違う。これから襲って来るのは……。
「右脳」が支配する世界
こうした流れの中、例えば米国を代表する世界的なIT関連企業である某社は今、ソフトウェア開発会社のM&Aを盛んに行ってきている。無論、そこに秘められている目論見は対外公表されていないが、内部関係者によると「最も強い関心を持ってフォローし、買収してきているのは人工知能(AI)を開発する企業である」のだという。「秤(はかり)」から始まり、「ホストコンピューター」の世界で一斉を風靡(ふうび)したこの巨大企業は、いよいよ人間の脳をも凌駕(りょうが)する人工知能の世界でリーディングカンパニーとなろうと躍起になっているのである。
従って、やれ「アベノミクスによる株高だ」「円安転換だ」などと騒いでいる暇は本当のところ、私たち日本人にはないのである。なぜならばこの米系巨大企業が満を持してマーケットへと間もなく送り出すはずの人工知能が支配的な状況になってしまった場合、ただでさえ論理的な思考能力(ロジカルシンキング)が苦手な私たち日本人は本当に打つ手がなくなってしまう危険性がある。これこそが、日本経済の抱えている本当の危機なのだ。
日本を代表する企業の最高幹部にこの話をすると、このように尋ねられる。「では一体どうすればよいのか。何をすれば日本人は生き残ることができるのか」と。そしてそのたびに私はこう答えることにしている。
「人工知能が突き詰めることのできるのは、結局のところ私たち人間が左脳で行っている世界です。“気づき”や“発想”、そして“アイデア”を担う右脳の世界ではまだまだ人間のほうが勝ることになるはず。そして本当は私たち日本人が世界的に優れているのはこの『右脳』が支配的な世界なのです」
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