ワーキングマザーはお荷物か?――あなたの会社が「ホワイト企業」になる方法:これからの働き方、新時代のリーダー(後編)(4/5 ページ)
第一子を出産した女性の6割が会社をやめる日本。最近はワーキングマザーも増えているが、どう扱っていいか分からない……という企業も多いのではないだろうか。本記事ではワーキングマザーをどう評価し、どう戦力にしていくかを考える。
ワーキングマザーの良いところとは?
吉岡: ここまで「時間の制約がある」という観点を中心に話してきましたが、ちょっと視点を変えて、ワーキングマザーの良いところについて考えてみたいと思います。
子どもを産んで会社に復帰する女性を私も何人か見てきましたが、いい意味で「変わったなあ」と思うことが多いんですよ。成長したというか、忍耐強くなって職場復帰してくる人が多いな、と。考えてみれば家で言葉が通じない赤ちゃんや幼児を相手にしているわけで、あの生活を続けることで本人も変わったんだろうなと思うんですよね。
坂本: 子どもほど理不尽な存在はないですからね……子どもに日々振り回されていく中で本人が成長するというのは分かります。忍耐強く、部下を育てられる、女性的リーダーシップを発揮できるようになる可能性は高いですよね。
吉岡: ほかにはどうでしょう?
坂本: 時間の制約がある中でパフォーマンスを上げようとするので、1時間あたりの生産性は高くなる人が多いですね。あと、段取り力が高い人も多い印象があります。それから、男性社員との感覚の違いとか。主婦感覚があることが、メーカーや販売現場など、BtoCの企業だと生かしやすいようです。
女性の部下を持つ上司には、『LEAN IN』を読んでほしい
坂本: 出産後に女性が頑張れるかどうかは、それまでどれくらいチャレンジングな仕事を任され、仕事の面白さを知り、評価されたかで決まる、と言われています。「スタートダッシュ」が大事、と。育児と仕事の両立はやっぱり大変です。それまでやる気が出るような機会を与えられなかった人は「私、そんなに頑張らなくていいです」となりがちです。
吉岡: 現実問題として、日本では働く女性の6割が第1子出産時に仕事を辞めてるわけですからね。
坂本: 新卒から何年もかかって一人前になって、多くの人がそこで仕事を辞めてしまう。企業から見ても、それってとてももったいないじゃないですか。
女性をタイプ別に分けると、2割がバリバリ仕事をする「バリキャリ派」、2割がそんなに仕事を頑張る必要はないと思っている、あるいは専業主婦志向の「ゆるキャリ派」、残る6割が「ほどほど派」になる、と言われています。バリキャリ派とゆるキャリ派は変わらないとして、環境次第で上にも下にも行く6割の「ほどほど派」の女性社員のうちどれくらいの人が「会社に残って頑張って働き続けよう」と思うか、ここはその企業の頑張り次第なんですよね。
吉岡: 出産後も会社に残って頑張って働き続けようと思うかどうか……仕事が面白いと思える経験があることはもちろんですが、もう一つ、責任ある仕事に抜てきされた経験があるかどうか、というのも大きい気がします。私は就職してからずっと編集者の仕事をしてきたんですが、「自分に与えられた仕事をきっちりこなそう」とか「もっといい結果を出そう」という気持ちは強くあったけれど、管理職志向はまったくなかったんですよね。
当時の上司に新媒体を立ち上げるように言われ、Business Media 誠の編集長ということになったわけですが、それまで編集長になりたいと思ったことがなかったので戸惑いました。なってみると、一編集者だったときには見えなかったことが見えてきたり、新しいやりがいがあったりして面白いのですが……あのときの上司にはとても感謝しています。
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