藤原和博さんに聞く、大学にも“地方格差”はあるのか?:仕事をしたら“金言”を聞くことができた(1)(2/3 ページ)
「大学でも東京一極集中化が進んでいる」といった声を聞いたことがあるが、本当にそうなのか? リクルートで働き中学校の校長を務めた藤原和博さんに、大学の現状を聞いた。
大学でも地方格差は進んでいるのか
土肥: 私の知り合いで人事の仕事をしている人がこのように言っていました。「大学でも東京一極集中化が進んでいるのではないか」と。
詳しく聞いてみると、以前は東京と地方の大学の学生レベルにそれほど違いはなかった。いまも偏差値的にいえば、それほど差はないと思うが、何かが違う。一番の要因は、学生時代にインターンとして働くことができる経験が大きいのではないか。
東京には日本を代表するだけでなく、世界を代表する企業がたくさんある。そうした企業で働く(インターン、バイトなど)ことによって、「社会人としての経験」が身についているのかもしれない。もしそうだとしたら、地方の大学はますます不利になっていくのではないでしょうか。
藤原: 日本では情報処理の仕事がどんどんなくなってきているのに、いまだに普通高校を卒業して、大学に入学しようと考えている人が多いですよね。そういう人たちは会社に就職して、年収400万〜800万円を手にしようとしている。でも「こうした形のレールはもうない」ということを認識しなければいけません。
大学も昔のまま……ではなく、もっともっと特徴を出していかなければいけません。例えば、秋田県にある「国際教養大学」は、世界中から英語で授業ができる先生をたくさん引っ張ってきました。授業の多くは英語で行われ、学生は卒業するのに海外留学をしなければいけません。徹底的に学力を高めているので、学生は企業から引く手あまたなんですよ。その結果、就職率はほぼ100%。地方には、国際教養大学のようなキラリと光る大学があるんですよね。
就職率でいうと「金沢工業大学」も高い。この大学は基礎学力に力を入れていて、大学1年生のときに「ノートのとり方」を教えています。そんなことは小学生……遅くても中学生で学んでおくべきことなのに、なぜ金沢工業大学では教えているのか。日本の学校では、ノートのとり方すら教えていないからなんですよね。また大学を卒業しても、社会人としてちゃんと生きていけるように……という教育にも力を入れています。
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