2014年、注目の列車旅は? 四国・東北、そして:杉山淳一の時事日想(1/4 ページ)
2014年の鉄道業界は追い風と向かい風が交互に吹きそうだ。観光列車ブームの継続は追い風、消費税アップに伴う運賃値上げが向かい風。新幹線のサービスアップは追い風、LCCの国内路線増は向かい風だろうか。今年も昨年に劣らず面白くなりそうだ。
杉山淳一(すぎやま・じゅんいち)
1967年東京都生まれ。信州大学経済学部卒。1989年アスキー入社、パソコン雑誌・ゲーム雑誌の広告営業を担当。1996年にフリーライターとなる。PCゲーム、PCのカタログ、フリーソフトウェア、鉄道趣味、ファストフード分野で活動中。信州大学大学院工学系研究科博士前期課程修了。2008年より工学院大学情報学部情報デザイン学科非常勤講師。著書として『知れば知るほど面白い鉄道雑学157』『A列車で行こう9 公式ガイドブック』など。公式サイト「OFFICE THREE TREES」ブログ:「すぎやまの日々」「汽車旅のしおり」、Twitterアカウント:@Skywave_JP、誠Styleで「杉山淳一の +R Style」を連載している。
2013年は「ななつ星 in 九州」など観光列車が次々と登場し(関連記事)、伊勢神宮の式年遷宮、出雲大社の平成の大遷宮があった。これらは2012年中から告知され、あるいは構想が発表されていた。分かりやすい出来事が多く、鉄道旅行業界にとって華やかな年であった。2014年はどうか。2013年ほど大きく目立つ要素は少ない。しかし、掘り下げてみるとネタはたくさんある。見せ方によっては大きく化けそうな予感がある。
→観光列車と新幹線で景気回復? 2013年の鉄道業界(関連記事)
観光需要の注目は東北と四国
東北地方太平洋岸方面の観光ブームは根強く継続しそうだ。復興観光ブームはNHKのドラマ『あまちゃん』のロケ地参りでピークとなった感もある。しかし、まだ下り坂はこない。鉄道を絡めた観光分野は、この4月に大きなヤマを迎える。三陸鉄道が全線復旧予定だ。同鉄道はドラマだけではなく、ドキュメンタリー、コミックなどでも露出が多かった。こうした勢いを持ったまま全線開通となれば、そのインパクトは大きい。三陸鉄道の運行再開は復興の象徴でもあったから、鉄道ファンだけではなく、一般観光客の吸引力もあるだろう。
さらに、鉄道ファンにとってのお楽しみとして「SL銀河」のデビューがある。JR東日本が釜石線を中心に運行予定で、開始時期は4月以降だという。機関車は岩手県の交通公園に保存されていたC58型で、現在は復元作業も最終段階。埼玉県の大宮総合車両センターで試運転が始まっている。徐々にスピードを上げ、12月20日には時速60キロメートルに達した。客車はJR北海道から購入したディーゼルカーを改造し、勾配区間で機関車のパワーを補う機能がある。これも鉄道趣味的には興味深いところ。客車の内外装は宮沢賢治の世界をテーマとし、プラネタリウムも搭載する。一般観光客にも魅力たっぷりだ。
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