“評論家”が増えてきた? コンビニコーヒーができるまで:仕事をしたら“金言”を聞くことができた(4)(2/3 ページ)
ここ数年、コンビニコーヒーは急速に普及していったが、誕生前にはどのような苦労があったのか。ローソンのマチカフェを担当している吉澤明男さんに「社内調整」の話を聞いた。
社内で評論家が増えてくる
土肥: ローソンで“いれたてコーヒー”を扱う店舗は、急速に増えていますよね。2011年の秋にスタートされて、現在(取材時10月)では5000店を超えている。新事業を始めるにあたって、苦労されたことも多いのではないでしょうか。
吉澤: 新しいことを始める際には「リスクをとるしかない」のですが、それを決める人がなかなか出てこないんですよね。なぜか評論家のような人が増えてくる(苦笑)。「これができない、あれもできない」「こっちではない、あっちもでもない」といったことばかり言って。
また競合他社と違ったモノをつくる場合、それは常識ではなく、非常識なモノになるんですよ。でも人間というのは非常識なモノが目の前に出てくると、拒絶反応を起こしがちなんですよね。新しい企画を出すと、必ず否定から入る人っていますよね?
土肥: います、います。
吉澤: 競合他社と違ったモノをつくればつくるほど「こんなの売れるわけがない」「できるわけがない」といった声が出てきました。私が「これでいきましょう」と決断しても、それに反対する人が出てくる。
土肥: で、どうされたのですか?
吉澤: いきなり大きなことを始めようとしても、反対勢力に負けてしまう。「ほらみろ、言ったとおりだろう」といった感じで。そうではなくて、まずは1〜2店舗から始めて、そこから実績を積み上げていくことにしました。
意気込みは大切なのですが、客観的な事実がないと、人はなかなか受けれてくれません。また結果を残した人たちが「楽しんでいる」「喜んでいる」「もうかった」といったことがないと、人はなかなかチャレンジしてくれません。
土肥: チャレンジしてもらうためのモチベーションづくりでしょうか?
吉澤: はい。マチカフェを担当している私が「ほら、こんなに成功しましたよ」と口説きまわっても、説得力はありません。そこで実験店として協力していただいたオーナーさんの声を紹介しました。その結果、「マチカフェを扱う店を増やそう」とか「ウチでもやってみよう」といった人が増えていきました。
関連記事
- ローソンのコーヒーは誰が飲んでいる? データから見えてきたコト
「コーヒーはコンビニで買う」という人が増えてきているが、一体どんな人が購入しているのだろうか。ローソンのPontaカードを分析すれば「どういった人が何を買ったのか」が分かるので、担当者に直撃。男性20〜40代がよく飲んでいるのは……。 - ミドリムシが世界を救う? そんな時代がやって来るかもしれない
「ミドリムシ」と聞いて、どんなことを想像するだろうか。「青虫」「ミトコンドリア」などを思い浮かべる人も多いのでは。ミドリムシを増やして、地球そして人類を救おうとしている会社がある。その名は「ユーグレナ」。社長の出雲充氏に話を聞いた。 - なぜ給料が二極化するのか? 年収200万円と800万円の人
景気低迷の影響を受け、給料は下がり続けている――。そんなビジネスパーソンも少なくないだろう。では、今後10年間はどうなのか。リクルートで働き、中学校の校長を務めた藤原和博さんに「10年後の給料」を予測してもらった。 - どうすればいいのか? 年収300万円時代がやって来る
景気低迷などの影響を受け、会社員の給料が下がり続けている。低年収時代に会社員はどのように生きていけばいいのだろうか。この問題について、人事コンサルタントの城繁幸さんとフリーライターの赤木智弘さんが語り合った。 - 大企業の正社員、3割は会社を辞める
東日本大震災の発生以降、「今後どのように働いていけばいいのか」と考えるビジネスパーソンも多いのでは。ポスト大震災の働き方について、人気ブロガーのちきりんさんと人事コンサルタントの城繁幸さんが語り合った。 - 宋文州氏が語る、日本人が「多様性」を受け入れられないワケ
日本に多様性は必要だと思いますか? こう聞かれると、ほとんどの日本人は「必要だ」と答えるはずだ。にも関わらず、なぜ日本では多様性を受け入れる考え方が広がらないのか。その疑問を、ソフトブレーン創業者の宋文州氏にぶつけてみた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.