“評論家”が増えてきた? コンビニコーヒーができるまで:仕事をしたら“金言”を聞くことができた(4)(3/3 ページ)
ここ数年、コンビニコーヒーは急速に普及していったが、誕生前にはどのような苦労があったのか。ローソンのマチカフェを担当している吉澤明男さんに「社内調整」の話を聞いた。
「負けてしまう」という危機意識
土肥: 実験店で苦労されたことってありますか?
吉澤: もう苦労だらけですよ(苦笑)。スタッフにはこのように言っていました。「いい話なんて聞かなくてもいい。とにかくクレーム、問題点をひろってこい」と。結果、さまざまな課題が浮き彫りになり、私たちはそれに対応してきました。
過去の成功体験を語る人がいますよね。「これまでこうやって売れてきたんだから、同じようにやっていれば売れる」といった感じで。でも、そんなやり方で売れるわけがありません。なぜならそこに“お客さま”が不在だからです。お客さまは、絶えず変化していく。好みに応えていくためには、常に成功体験を破壊していかなければいけないんですよ。
ゼロベースで物事を考え、事業を進めていかなければいけません。なので成功体験を語ってはいけませんし、いい話ばかり聞いていてはダメ。クレームや問題点に耳を傾け、仕事の方法を変えていかなければいけないんですよね。
土肥: ローソンでは、いれたてコーヒーをスタッフの人が手渡しています。でも競合他社は違う。
吉澤: 会社は「コーヒーを軸にして、ローソンの姿を変えていきたい」という思いがあります。従来のコンビニモデルは、セブン-イレブンがつくってきました。ただ、彼らと同じことをやっていても「負けてしまう」という危機意識が強い。
お客さまにとっては、1杯のコーヒーにすぎないかもしれません。しかし、会社としてはその1杯のコーヒーを通じて、スタッフの接客意識を変えていきたい。そして、接客レベルを高めていくことで、競合チェーンとの差別化を図っていきたいですね。
土肥: なるほど。ちなみに、47都道府県でよく売れているのはどこですか?
吉澤: 沖縄県でよく売れていますね。この結果には、私たちも驚きました。沖縄はファミリーマートが専攻していて、私たちは後発組。ファストフードが多いので、コンビニでコーヒーを注文することに抵抗がある人が少ないのかもしれません。
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