マー君にも知ってもらいたい? 伝説の日本人検死官:窪田順生の時事日想(1/3 ページ)
トーマス・T・野口という人物をご存じだろうか。誰? と思うかもしれないが、米国の法医学界では有名な監察医だ。渡米時、彼の英語は全く通じなかったが、どのようにして成功を収めたのだろうか。
窪田順生氏のプロフィール:
1974年生まれ、学習院大学文学部卒業。在学中から、テレビ情報番組の制作に携わり、『フライデー』の取材記者として3年間活動。その後、朝日新聞、漫画誌編集長、実話紙編集長などを経て、現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌でルポを発表するかたわらで、報道対策アドバイザーとしても活動している。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。近著に『死体の経済学』(小学館101新書)、『スピンドクター “モミ消しのプロ”が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)がある。
マー君が紆余曲折の末、「ニューヨーク・ヤンキース」と7年で161億円という条件で契約締結した。
もはや日本のプロ野球選手がメジャーへ行くというのは珍しくない。というか、これまでも何人もメジャー経験者がいるので当然、「先人」たちへマイクが向けられる。田中選手へアドバイスをなんて感じで。当り障りのないコメントが並ぶなかで、面白かったのは、新庄剛志氏が放った言葉である。
「自分は最初3カ月は2つの英語だけで乗り切った。マー君もそれで行け。大切なのは自分が楽しむこと」
マスコミはユニークな新庄氏のキャラクターから「珍エール」なんて半笑いで報じたが、「珍」どころか実はかなり本質的なことを述べている。
2つの英語だけというのはさておき、「自分が楽しむこと」というのは、米国社会で成功するためにはある意味で誤学力より重要だからだ。
米国に限らず文化の異なる社会で外国人が実力を発揮し、素直にそれを認められるというのは並大抵のことではない。国によっては自己主張しないとあっという間に存在が忘れられるし、人種差別や偏見だってバンバン残っている。
こういう24時間朝から晩までアウェーのなかで、心がポキンと折れないためには、「忍耐力」とか「高い志」だとかももちろん必要だが、実は最も大切なのは、どんな逆境でも「楽しさ」を見出すことだ。そういう日本人は米国でも圧倒的な存在感を示す。
その代表が、トーマス・T・野口である。
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