なぜ沖縄の人は「レトルトカレー=元祖ボンカレー」なのか:仕事をしたら“レトルトカレー”ができた(後編)(4/5 ページ)
沖縄の人にとって、「レトルトカレー=元祖ボンカレー」らしい。現在本土では売っていない「元祖」のカレーが、なぜ沖縄の人に定着しているのだろうか。ボンカレーを販売している、大塚食品の担当者に話を聞いた。
消費者や流通などからそっぽ
土肥: 「ボンカレーは古臭い」というイメージがあって、「ボンカレーは高い」という事実があって、消費者や流通などからそっぽを向かれてしまった。で、どうされたのですか?
垣内: もちろん指をくわえていただけではありません。業界に先駆けて、電子レンジ対応のパッケージを採用しました。従来のモノは火や熱湯を使わなければいけなかったのですが、新しいタイプのモノはフタをあけて、箱ごとレンジでチンすれば食べることができるようになりました。
「古臭い」イメージを払拭するために、季節限定の商品を投入するようにしました。定番ラインアップ(甘口・中辛・辛口)のほかに、2013年の夏には「超熱辛」を発売。また冬には「ホワイトカレー」を発売しました。ホワイトカレーはシチュー仕立てで、隠し味にホワイトショコラを使いました。
土肥: 効果はあったのでしょうか?
垣内: 2013年12月の売り上げをみると、対前年同月比で138%でした。
土肥: おー。
垣内: さらに46歳の誕生日(2月12日)には、定番ラインアップに「大辛」が追加されます。このようにいろいろな商品を出すことで、消費者に「お、ボンカレーも新しいことをやっているな」と感じていただくことが大切だと思っています。
あっ、そうそう。2月に「大辛」を発売しますが、誤解されている人が多いんですよ。他のメーカーの商品は辛味の成分を足して、辛さ「2倍」「3倍」……「10倍」などと書いているのですが、ボンカレーは違う。それぞれの種類によって、レシピが違うんですよ。
土肥: ほー。ということは、違う商品名で売り出すこともできるというわけですね。
新商品を次々に出すことで、「これ、食べてみようかな」という人は出てくるでしょうね。ただ、懸念がひとつ。
垣内: 何でしょうか?
土肥: 「ボンカレーが間違った方向に行かないかな」ということです。他のメーカーの商品……これはレトルトカレー以外のモノにも言えることですが、奇をてらいすぎて「なんだこれは!?」といったモノがありますよね。へき地に行かなければ手に入らない素材を使って、「どうだ! スゴいだろう!」とアピールする商品がありますよね。大切なのは、みんなの口に合うかどうかなのに……。
関連記事
- ルーツは病院にあった? 今年46歳、ボンカレーの過去
1968年に発売された「ボンカレー」は、どのように開発されたのだろうか。製造元の大塚食品に聞いたところ、意外な答えが返ってきた。カレーが入っている袋を殺菌するために……。 - ローソンのコーヒーは誰が飲んでいる? データから見えてきたコト
「コーヒーはコンビニで買う」という人が増えてきているが、一体どんな人が購入しているのだろうか。ローソンのPontaカードを分析すれば「どういった人が何を買ったのか」が分かるので、担当者に直撃。男性20〜40代がよく飲んでいるのは……。 - コカ・コーラのようなマーケティングが、日本でできない理由
とあるコンサルティング会社が発表した「企業のブランド価値」ランキングによると、「コカ・コーラ」が13年連続でトップ。日本企業を見ると、トップは「トヨタ」で10位どまりだ。Neo@Ogilvyの山崎浩人さんは、コカ・コーラはある特徴的なマーケティングをしているという。それは……。 - ミドリムシが世界を救う? そんな時代がやって来るかもしれない
「ミドリムシ」と聞いて、どんなことを想像するだろうか。「青虫」「ミトコンドリア」などを思い浮かべる人も多いのでは。ミドリムシを増やして、地球そして人類を救おうとしている会社がある。その名は「ユーグレナ」。社長の出雲充氏に話を聞いた。 - なぜコンビニは人気のない「エッグタルト」を売り続けるのか
ローソンでスイーツの販売データを見せてもらった。それによると「エッグタルト」はあまり売れていないのに、店頭に並び続けている。人気のない商品は消えていくはずなのに、なぜ「エッグタルト」を売り続けるのか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.