なぜ沖縄の人は「レトルトカレー=元祖ボンカレー」なのか:仕事をしたら“レトルトカレー”ができた(後編)(5/5 ページ)
沖縄の人にとって、「レトルトカレー=元祖ボンカレー」らしい。現在本土では売っていない「元祖」のカレーが、なぜ沖縄の人に定着しているのだろうか。ボンカレーを販売している、大塚食品の担当者に話を聞いた。
50歳、60歳になっても
垣内: その点は気をつけなければいけません。ボンカレーはロングセラー商品なので、昔からのイメージがある。それをいい形で裏切ることができればいいのですが、ヘンな形で裏切ってしまうと、たくさんのファンを失うことになりかねません。
また「万人に愛される」ことは難しいのですが、ボンカレーはそれを目指しています。よくターゲットはどの層ですか? と聞かれるのですが、ボンカレーについてはこの質問に答えることができません。つまり、1つの層でくくることができないんですよね。ボンカレーというブランドイメージの中で、どのようにして裏切っていけばいいのか――これが今後の課題になるのでしょう。
土肥: あと価格競争についてはいかがでしょうか?
垣内: これまでは価格一辺倒だったのですが、ここ1〜2年でようやく落ち着きがうかがえるようになりました。消費者の間で「価格だけでなく、価値があれば買う」というマインドになってきたのではないでしょうか。
土肥: レトルトカレーは長期間保存できることが強みなのですが、逆にそれが弱みになることもありますよね。例えば「70円」で売られてしまうと、そのときにガバッと買う人がいる。そういう人は、定価の値札を見ると「なーんだ、残念。次の特売日に買えばいいか」となる。難しいですよね。
垣内: レトルトカレーがペットボトルの水よりも安いなんて……おかしいですよね。
土肥: おかしい、おかしい。
垣内: メーカーの私たちができることは、ブランド全体の価値を高めなければいけません。あと消費者の味覚が多様化しているので、その流れについていかなければいけません。
土肥: グリーンカレーを中心にアジアンカレー、ルウカレーのような辛さやスパイシー感を訴求したカレーが増えてきましたよね。そうした環境の中で、歴史のあるボンカレーがどんな展開をしていくのか。50歳、60歳になっても、古臭さを感じさせないでくださいね。本日はありがとうございました。
(終わり)
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