コンビニのオーナーが亡くなったとき、どうする? どうなる?:ご一緒に“おでん”いかがですか(4/4 ページ)
大雪が降っても、コンビニは開いている。ほとんどの人が「コンビニは年中無休」と思っているだろうが、オーナーが亡くなったときはどうなるのか。
本部社員が派遣されると、お店側は派遣料を支払わなければいけない。ただ、血も涙もない本部もさすがに、こういう自体では請求を控えることが多いだろう(筆者が知る限り、本部が請求したケースはない)。また場合によっては葬儀の準備なども手伝うが、最近はセレモニー会場で執り行うコトが多い。なので会場の案内をする程度だ。
もちろんのことだが、一番キツイのは、残された奥さんだ。亡くなった当日、翌日や翌々日が通夜、そして葬儀。今では、葬儀と同時に初七日を済ませるパターンが多いので、3〜4日で店に復帰しなくてはいけなくなる。悲しむ暇もないというのは幸せなのかもしれないが、奥さんが復帰した時点で、店番をしていた本部社員は引き上げる。
逆のパターン……奥さんが亡くなった場合はもっと酷いかもしれない。周囲の人たちから「あなたはオーナーなのだから」「悲しいかもしれないが、がんばれよ」などと声をかけられる。しかし、多くのコンビニを見てきた者として、コンビニの中心人物はオーナー奥さんである場合が多い。万が一など考えたくもないが、妻に先立たれた日には、当店もどうなることやら……。
オーナー自身が亡くなった場合、店の存続はどうなるのか? 奥さんが代わりにオーナーになる場合が多い。もちろん、奥さんが「辞める」と意思表示すれば、契約者であるオーナーがいないので契約は白紙になるが、一応連帯責任者になっているので、翌日から店を放棄するわけにはいかない。本部としても、いきなり解約されるのは困るので、あの手・この手で引き止め工作を図る。
筆者は、念のため遺言状を作成しているが、そこには「即日解約」を申し出るよう記載している。コンビニは、オーナー自身の我がままで始めることが多い。オーナーが死んでまで、奥さんはそのわがままに付き合う必要はないと考えている。
それでも、経済的理由で奥さんが続けていかなければいけないケースが多いのだ。オーナーはそのへんのことをしっかりと考えて、話し合っておく必要があるだろう。
「開いてて良かった」は、セブン-イレブンの初期のCMフレーズだが、「開いてて良かった」と思ってもらうために、コンビニに関わる全ての人が動いているのだ。店のメンテナンス、商品の製造、配送、そして店の運営。たくさんの人たちが、どんな時でも、お客さんの来店に備えていることを知ってもらえたら幸いだ。
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