ぜんぶ雪のせい……ではなかった? 東横線追突事故:杉山淳一の時事日想(1/6 ページ)
2014年2月15日。東急東横線元住吉駅で電車の追突事故が起きた。大雪の惨事、死者がなくて不幸中の幸いだ。報道によると、非常ブレーキが作動したにもかかわらず、電車が停まらなかったという。でも、それって……。
杉山淳一(すぎやま・じゅんいち)
1967年東京都生まれ。信州大学経済学部卒。1989年アスキー入社、パソコン雑誌・ゲーム雑誌の広告営業を担当。1996年にフリーライターとなる。PCゲーム、PCのカタログ、フリーソフトウェア、鉄道趣味、ファストフード分野で活動中。信州大学大学院工学系研究科博士前期課程修了。2008年より工学院大学情報学部情報デザイン学科非常勤講師。著書として『知れば知るほど面白い鉄道雑学157』『A列車で行こう9 公式ガイドブック』など。公式サイト「OFFICE THREE TREES」ブログ:「すぎやまの日々」「汽車旅のしおり」、Twitterアカウント:@Skywave_JP、誠Styleで「杉山淳一の +R Style」を連載している。
東急電鉄東横線の元住吉駅は、地域の人々にも鉄道ファンにも居心地の良い駅だ。駅構内は島式ホーム(ホームの両面を列車の発着に使用する形式)2本、線路が6本もある。ここは内側の複線が目黒線系統で、外側が東横線系統となっている。東横線にはホームに入る線路の外側に通過用の線路があって、特急や急行がさっそうと駆け抜けていく。見上げれば大きなドーム屋根があり、駅をすっぽりと覆っている。ホームのすぐ上に屋根がないから、とても広々としている。
改札口を出ると、正面は陽の当たるテラスになっている。テラスの向こうはガラスの壁で、真下を行き来する電車がよく見える。鉄道好きにはたまらない。通路との仕切りは植栽になって、まるで森のテラス。ここは“市民のリビング”といえる。私が訪れた日も、電車好きの子供と母親、お年寄りがくつろいでいた。私も弁当を買ってしばらく過ごしてみたくなった。
しかしこの素敵な駅で、残念な事故が起きた。2014年2月15日。大雪でダイヤが乱れる中で、ホームにいた下り電車に、後続の下り電車が追突した。東急電鉄の発表によると、乗客の被害は軽傷者19名とのこと。テレビやTwitterなどで流れた映像では電車がひしゃげており、衝撃的であった。死者はいなかったとはいえ、軽傷者の後遺症が心配だ。
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