大雪でも高級天ぷらを貪る総理――日本の未来は大丈夫なのか?:グローバルエリートから見た世界(1/4 ページ)
安倍総理が2月16日に行った「会食」がやり玉に挙がっている。関東・甲信で大雪が降ったにもかかわらず、総理は東京の高級天ぷら店で舌鼓を打っていた。こうした行動に批判の声が挙がっているが、筆者の原田氏は違う角度で見ている。それは……。
著者プロフィール・原田武夫:
株式会社原田武夫国際戦略情報研究所(IISIA)代表取締役(CEO)
東京大学法学部在学中に外交官試験に合格、外務省に外務公務員I種職員として入省。12年間奉職し、アジア大洋州局北東アジア課課長補佐(北朝鮮班長)を最後に自主退職。在任中は、6カ国協議や日朝協議等に多数出席した。「すべての日本人に“情報リテラシー”を!」という想いの下、情報リテラシー教育を多方面に展開。自ら調査・分析レポートを執筆するとともに、国内大手企業などに対するグローバル人財研修事業を全国で展開する。
最新刊『ジャパン・ラッシュ――「デフレ縮小化」で日本が世界の中心となる』(東洋経済新報社)を2013年12月6日に上梓。IISIA公式メールマガジン
グローバルエリートから見た世界:
金融メルトダウンに対し米国・欧州・日本が次々に歴史的な規模で「量的緩和」を行っているが、一向に出口が見えてこない。しかしそのような状況であってもグローバルエリートたちによる「新秩序の形成」は始まっている。
グローバルエリートたちは一体どういったコンセプトでこれからの世界を創ろうとしているのか? そうした中で、日本人は何を考え、どのように動けばいいのか? タイムリーな話題を切り口にして、日本人に足りない「新グローバル秩序形成に向けたコンセプト」を描いていく。
安倍晋三総理大臣が2月16日に行った「会食」がやり玉に挙がっている。関東では14日から降り始めた大雪のため、山間部を中心に食糧供給すらままならない異常事態が発生した。「雪に弱い大国ニッポン」の実態が露呈したわけだが、その対策のため陣頭指揮を執るべき安倍総理はというと東京・赤坂の高級天ぷら料理店にて支持者と舌鼓を打っていたのである。「危機意識の欠如」「不謹慎」といった批判がインターネット上で飛び交い、マスメディアがこれに追随する展開になっている。
私はこうした論調に追随し、この場で安倍批判をしたり、さらには「アベノミクス」糾弾をしようというわけではない。しかし今回の出来事を踏まえて、まったく違う危惧を抱かざるを得なかったのである。それは「この国における政治上のリーダーシップの選び方は本当にこのままでよいのだろうか」という根本的な疑念にもつながるものだ。
気候変動は脅威
安倍総理が天ぷらを楽しんだ直後、米国のケリー国務長官はインドネシアで演説を行った。彼はその場でこう言い放ったのである。
「気候変動はテロリズム、貧困、そして大量破壊兵器(WMD)にも匹敵するほどの脅威だ」
米国政府は気候変動問題に対処するための追加的な施策について、国際社会に対して具体的な提案を行った。その立役者がケリー国務長官であるのは言うまでもない。
「また何か怪しげなビジネスモデルを米国は作り上げつつあるのではないか。最後に日本に請求書が回ってきてカネを巻き上げられるだけなのではないか」
このように感じる人が多いかもしれないが、それは違う。なぜならケリー国務長官の発言は、2016年に実施される大統領選挙に出馬する上での、「選挙戦略」の一部であると考えるべきだからだ。
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