「山崎製パン」が自社トラックを持っているのはなぜか:数字のオモテとウラを学ぶコラム(4/4 ページ)
高速道路で立ち往生している人に、トラックの荷台に積んでいたパンを配った――。山崎製パンのドライバーが話題になりましたが、そもそも同社はなぜ自社トラックを所有しているのでしょうか。今回はその謎に迫ってみました。
理由3:パンを届けるという社会的使命
前述の通り、山崎製パンの作っているパンは「生活必需品」。だからこそ、確実に消費者の手元に届くような供給体制を持っていなければなりません。
しかし、日本国内を走っている輸送業者のトラックの台数には限りがあります。例えば2014年4月に予定されている消費増税の影響で、駆け込み需要に伴う物流のひっ迫が指摘されています。家電や家具など、耐久消費財の販売数量が増加する。そうでなくても年度末は何かと物流量が増える時期です。これらの影響で、すでに輸送業者のトラックは「満杯」の状態になりつつあります。
生活必需品たるパンが輸送できなくなったら、私たちの生活に影響が出てきます。そうした場合でも私たちの手元にしっかりとパンを届けるためには、自社グループでトラックを確保しておくことが一番確実な手段と言えるわけです。
物流はほとんどのビジネスにとって欠かせないものですが、その機能はあくまでも「コスト」という側面でしか語られない傾向があります。しかし、食の安全を確保する、供給体制を確実なものにする、そういった観点から自社で物流機能を維持するという発想は、将来の不測の事態を回避したり、あるいは企業の価値そのものを高めるための「投資」という意味合いを持っているのです。
今回はその投資がバッチリ当たり、ドライバーの活躍によって“株価”も上昇したようです。これからも私たちにおいしいパンを届け続けてくれることでしょう。
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