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コラム

日本の“教育格差”はどうすればなくなるかINSIGHT NOW!(1/2 ページ)

経済的理由や家庭環境などの事情で、学習したくても学習できない――日本にはそんな子どもたちがたくさんいるという。そんな“教育格差”をなくすためにNGO「3keys」は活動しているが、大多数の大人がこの問題を認識していないことに問題があると言う。

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著者プロフィール:小槻博文(おつき・ひろふみ)

合同会社VentunicatioN代表。ベンチャー企業の広報立ち上げ・自立運営を支援。1973年東京都出身。1996年早稲田大学卒業。外資系旅行会社でのウィーン駐在を経た後、約10年にわたり事業会社にて一貫して広報に携わる。その後ベンチャー企業の広報支援に関する起業を志し、1年半ほどPR会社にて新たな視点からの広報経験を積んだ上で、VentunicatioNを設立。


 子どもたちは次世代の社会を担う存在であるのは言うまでもない。皆が皆、社会に出たときに活躍する人になってほしいものだが、生まれた環境や育った環境が、子どもたちの将来を大きく左右するのも現実だ。今回は教育格差を埋めようと取り組む特定非営利活動法人「3keys」(スリーキーズ)の活動を紹介しよう。

 代表理事の森山誉恵氏は大学時代にビジネスコンテストを主催するサークルに参加するとともに、自身もビジネスコンテストの優勝経験を持つ。しかし、彼女は「優勝したプランは、あくまで事業性ありきで考えたもので、社会にとって必要だと思われること――本当に自分がやりたいことは、事業としては収益性が低く、周囲からはあまり評価されませんでした」と当時を振り返る。

 そのような中で、「ビジネスありきではなく、本当に社会に必要なことに関わっていきたい」と考えるようになり、児童養護施設のボランティアに参加したが、そこで本当に社会にとって必要なことは、日の目が当たらず、優秀な人材が不足していることを知った。これを何とかしなくては、という想いから3keysを立ち上げたのだという。

3keysの活動内容とは?

 現代は学校での学習だけでなく、学習塾や家庭教師なども利用しないと、高校や大学に進学しづらい時代と言える。しかし、それでは学習塾や家庭教師などを利用できない環境にいる子どもたちは犠牲になってしまう。そこで3keysでは、すべての子どもたちが等しく学習できる環境を提供することを目的に、経済的理由や家庭環境などの事情により、公教育だけではドロップアウトしかねない子どもたちに対する学習支援を行っている。

 具体的には、小学生のうちに基礎学力や学習習慣・意欲を身につけることを目的とした「教室型指導」、そして、大学進学が当たり前の時代に、環境に左右されずに学習が続けられるよう、高校生を対象にした「家庭教師型指導」を提供している。それぞれ教材提供や講師スタッフの派遣などが主な業務だ。

 “学習したくても学習できない”という問題は、決して子ども自身に非があるわけではなく、社会の仕組みだったり周囲の環境を変えるべきである。しかし、この問題を解決しようと動いている人は少なく、大多数の大人たちは無関心なのが実情だ。

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