連載
巷で言われる「通販サイト詐欺が昨年比6倍に急増」は本当か?:窪田順生の時事日想(2/3 ページ)
「ネット通販の詐欺」が増えている、らしい。国民生活センターの発表によると、ネット通販で前払いをした場合に商品が届かないなどのトラブルが急増。こんな話を聞くと、「やはりネット通販は怪しい」と思う人もいるだろうが、実は……。
振込み詐欺は「闇金融」から派生
ちょっと前、振り込み詐欺グループなどに関わる人間に取材したことがある。
彼によれば、今世にあふれかえる振込み詐欺などは、もともと闇金融から派生したものだというのだ。
闇金グループというのは、完全なピラミッド型組織で、下部組織が上層部へ毎月の売り上げを納めなくてはいけない。これは暴力団の下部組織が上部団体へ「上納金」を納めていくシステムとよく似ている。
このような組織のなかで、求められるものは、いかにカネを上へあげていくしかない。これは裏を返せば、カネがないならばコンビニ強盗でも詐欺でも何でもしなくてはいけないということでもある。
つまり、組織内で求められる“売り上げ”をつくるため、さまざまな新規事業へ進出していったというわけだ。そのなかで、もっとも手軽なのが「振り込み詐欺」である。闇金をやる人間たちに必要不可欠なのは「名簿」である。この名簿を使って口八丁手八丁で、カネを引っ張ればいいのだ。
みなさんからすると、詐欺師というのは単に流行の詐欺の手口を模倣(もほう)していると思うかもしれないが、そんなことはない。社会トレンドに巧みに取り入れ、異なる詐欺同士を組み合わせるなどして常に“進化”している。
関連記事
- ブラック企業問題はなぜ「辞めればいいじゃん」で解決しないのか
従業員を劣悪な環境で働かせ、使い捨てにする――。いわゆるブラック企業が社会問題になっているが、なぜそこで働く人は会社を辞めようとしないのか。その背景にあるのは……。 - NHKが、火災ホテルを「ラブホテル」と報じない理由
言葉を生業にしているマスコミだが、会社によってビミョーに違いがあることをご存じだろうか。その「裏」には、「華道」や「茶道」と同じく「報道」ならではの作法があるという。 - 朝日新聞が、世間の感覚とズレにズレている理由
気鋭のジャーナリスト、上杉隆氏、相場英雄氏、窪田順生氏の3人が、Business Media 誠に登場。「政治評論家に多額の資金が渡った」と指摘されている官房機密費問題や、メディアが抱える問題点などについて語り合った。 - 竹田恒泰さん、どうします? 東京五輪は「ヤクザ・オリンピック」だって
明治天皇の玄孫・竹田恒泰さんの発言が物議を醸している。五輪に出場した選手に「メダルは噛むな」などとツイートしたことで“炎上”。選手の振る舞いに注文をつけている間に、「こっちはどうなの?」という問題が出てきた。それは……。 - ゴーストライターの私はこう思う、新垣隆さんは「ゴースト」ではない
“現代のベートーベン”と言われた佐村河内氏に代わって、譜面を書いていた新垣隆氏。メディアは彼のことを「ゴーストライター」と呼んでいるが、本当にそうなのか。有名人の「ゴースト」を務めてきた筆者の窪田氏は、「新垣氏はゴーストではない」ときっぱり。その理由は……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.