人はなぜ「コカ・コーラ」や「アップル」の商品を買うのか:仕事をしたら“ブランド”が見えてきた(6/6 ページ)
日本の企業広告を見ていると、自社商品をアピールするものが多い。「目先の利益を追いかけなければいけない」といった理由があるのだろうが、本当にそれでいいのか。グローバル企業と日本企業の“違い”について、Neo@Ogilvyの山崎浩人さんに話を聞いた。
土肥: 当時は、ユニクロを着ていると「ちょっと恥ずかしいなあ」と感じていた人が多かったですよね。商品を買っても、すぐにタグを外したり。
山崎: でも2000年ごろから「先進性」が際立ってきました。そして現在では「グローバルでの衣料の定番」を目指しているようです。なぜユニクロは20年ほどでこれほど変化することができたのか。その根底には、企業理念があるんですよ。それは「服を変え、常識を変え、世界を変えていく」(参照リンク)。
ファーストリテイリングのトップ(柳井正会長兼社長)がこの言葉を口にしても、消費者には直接関係ありません。でもこのメッセージによって、ユニクロは先進的なブランドに成長できたと思いますね。
土肥: そして、今では、グローバルでの衣料の定番を目指していると。企業理念がしっかりしている会社は、ブレにくいのでしょうか?
山崎: そう思います。メッセージがしっかりしていると、その会社で働いている社員の活動に軸ができる。「自分たちはなにをすべきなのか」ということが明確になっているので、ブレにくいんだと思います。
土肥: 日本にもユニクロのように「ブランドの理念を強化すべき」と考える企業は増えてきているのでしょうか?
山崎: 徐々にですが、増えてきていますね。これまではデジタルやソーシャルでも「実施することが目的」になっている企業が多かった。「で、あなたの会社はブランドとしてなにを訴求したいのですか?」と聞くことが多かったのですが、最近は「訴求する価値が本質的な課題である」と気づくケースも増えてきました。
土肥: グローバル企業の広告を見て、焦ってきているのではないでしょうか? 「ウチもあの会社のようにしなければ……」といった感じで。
山崎: いや、そうではありません。これまでのように「いいモノができました」ばかりアピールしても、商品が売れなくなってきました。で、その原因を分析したところ、長期的な要因として「ブランド価値の低下」であることが分かってきました。
土肥: なるほど。日本企業は出遅れたかもしれませんが、まだまだ取り返しはつくはず。
山崎: ところでドイさんが勤めている会社の企業理念は何ですか?
土肥: えと、えと……(なんだったっけ?)。ここらでおしまいにしましょう(苦笑)。
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