人はなぜ「コカ・コーラ」や「アップル」の商品を買うのか:仕事をしたら“ブランド”が見えてきた(5/6 ページ)
日本の企業広告を見ていると、自社商品をアピールするものが多い。「目先の利益を追いかけなければいけない」といった理由があるのだろうが、本当にそれでいいのか。グローバル企業と日本企業の“違い”について、Neo@Ogilvyの山崎浩人さんに話を聞いた。
山崎: 残念ながらそうですね。いまの時代、商品の機能にそれほど差がつけられなくなりました。では価格や値引きで勝負すればいいのか? それだと企業は長期的に疲弊してしまうんですよね。
強い理念を持つ企業は、消費者からそのブランドで選ばれます。アップルの場合は「創造的な探索と自己表現の手立てを人々に提供する」なんですよね。先ほど紹介したコカ・コーラの場合は、「Open Happiness」(ハッピーをあけよう。)でグローバルキャンペーンが展開されています。
下の表を見ていただけますか? これは両社の企業理念を分解したものです。「どのような・何を」といった部分が具体的でアイデンティティや顧客への提供価値が明快なんですよね。アップルの場合は「創造的な・探索」「自己表現の・手立て」。コカ・コーラの場合は「からだと心、そして精神を」。
社名 | メッセージ | 誰に | どのような | 何を | どうする |
---|---|---|---|---|---|
コカ・コーラ | 世界中の人々のからだと心、そして精神をリフレッシュします | 世界中の人々 | − | 体と心、そして精神を | リフレッシュする |
アップル | 創造的な探索と自己表現の手立てを人々に提供する | 人々に | 創造的な・自己表現の | 探索・手立て | 提供する |
逆に日本企業の場合は、抽象的で他の企業でも言えてしまうようなものが多い。
土肥: うーん、でも企業理念を気にしている人なんてほとんどいませんよ。自分が働いている会社の理念すら知らない人もいると思いますし。
山崎: 消費者にとって「企業理念」なんて、どうでもいい。でもそれは直接的な話であって、間接的には「その企業理念とそれを体現させた商品に共感して」いるんですよね。
例えば、ユニクロを展開しているファーストリテイリング。1990年代前半は「安さ」をアピールしていました。
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