人はなぜ「コカ・コーラ」や「アップル」の商品を買うのか:仕事をしたら“ブランド”が見えてきた(4/6 ページ)
日本の企業広告を見ていると、自社商品をアピールするものが多い。「目先の利益を追いかけなければいけない」といった理由があるのだろうが、本当にそれでいいのか。グローバル企業と日本企業の“違い”について、Neo@Ogilvyの山崎浩人さんに話を聞いた。
アップルの企業理念
山崎: 東日本大震災後、消費者の価値観が変化しました。本当に必要なモノは何か。心を豊かにするモノは何か。将来の発展につながるモノは何か。こうした3つの項目に重きを置くようになったのに、企業はこれまでと同じように「いいモノができました」ばかり言っています。その商品は「いいモノ」だと思うのですが、そのことばかりアピールしても「企業価値」はなかなか感じてもらえません。
土肥: 「企業価値」という言葉が出てきましたが、それはどういう意味でしょうか?
山崎: 日本では当たり前のように知られている企業でも、海外では知られていないケースがありますよね。あなたの会社はどんなブランドなのですか? と聞かれて、例えば「○○を作っている」と答えるだけでは弱い。どういうアイデンティティで、どういった背景・歴史があって、企業市民としての役割を持つブランドなのか――といったことをアピールする必要があると思う。
グローバルに展開するから「グローバル用に作る」というのではなく、まず企業のアイデンティティという基盤を作ってから、海外に進出することが大切なのではないでしょうか。
土肥: もう少し、具体的に教えていただけますか?
山崎: 下の図を見ていただけますか。アップルの存在意義は、物事を違う角度から考えることに信念を置いています。これが企業の核の部分である「Why」ですね。次に「How」があるのですが、アップルの場合でいうと、美しくかつシンプルにすること。そして「What」の部分は、結果的にiPhoneやiPadといった商品が生まれる。この3つの関係性がひとつの世界観としてできあがっているんですよ。
土肥: 一方、多くの日本企業は「What」……。つまり、「いいモノができました」ばかり強調するということですね。
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