中小企業グループがタッグを組んだ2プロジェクトが日米で資金調達:入門クラウドファンディング(1/2 ページ)
日本のメーカーや工場が世界に誇る技術をもっていることはよく知られていますが、その生かし方や売り出し方についてはまだまだ課題があります。しかしその分、課題を解決する方法さえあれば、大きな可能性を秘めているとも言えます。
集中連載「入門クラウドファンディング」について
本連載は、山本純子著、書籍『入門クラウドファンディング』(日本実業出版社刊)から一部抜粋、編集しています。
本書は国内外の諸事情に通じた気鋭のコンサルタントによるわが国初となる「クラウドファンディング」の本格的な入門書です。
不特定多数の人たちをフォロワーに変え、資金を提供してもらいプロジェクトを実現する仕組み――それがクラウドファンディング。クラウドファンディングが大きな注目を集める“本当の理由”とは? 単なる資金調達の手段を超えてプロジェクトの進め方を大きく変える、新しい“おカネの集め方”です。
キックスターターといった世界最大のプラットフォーム、莫大な資金調達をクリアしたプロジェクト、世界的映画監督が仕掛けたプロジェクトに対するさまざまな議論の応酬など、興味深いエピソードも満載。起業家(予備軍)やベンチャー経営者のみならず、一般企業の経営者必読の1冊です!
「ラピロ(RAPIRO)─スタート直後に80%達成、日本中小企業チームによるロボットキットがKickstarterで大奮闘」
これはIT系ニュースを扱うウェブサイト『テックウェーブ(Tech Wave)』で2013年6 月21日に配信された記事です。ペブルの事例でも名前が挙がっていたキックスターターがここでも登場しています。
この記事では、ロボット・デザイナー石渡昌太氏率いる機楽株式会社と、それぞれ光造形技術、電子基板製造、試作金型製作などで高い技術をもつ株式会社JMC、株式会社スイッチサイエンス、株式会社ミヨシがタッグを組み、高性能ながら低価格(予価3万9800円)の組立式ロボット「ラピロ」を開発したこと、その製品化のために前日の20日からキックスターターで2万ポンド(約298万円)を目標に資金調達を開始し、好調なスタートを切っていることを伝えています。
そして、その翌日6月22日に同じくテックウェーブに掲載されたのが次の記事です。
「SDガンダムみたい? ハイテクロボットキット『ラピロ(RAPIRO)』のKickstarterプロジェクトが2日たらずで想定金額達成」
見出しのとおり、クラウドファンディング・キャンペーン開始から約2日で目標額を達成することに成功します。
この後、本プロジェクトは『テッククランチ』や『マッシャブル(Mashable)』など海外のIT系有名ニュース・サイトにも取り上げられ(※)、最終的に402人から当初の目標額の約3.7倍以上となる7万5099ポンド(約1141万円)を調達します。
さらに彼らは、キックスターターでのキャンペーン終了直後の13年8月から日本のクラウドファンディング・プラットフォーム「マクアケ」でも追加の資金調達キャンペーンを実施し、こちらでは同年10月末までに142人から566万9000円を調達することに成功しました。
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