中小企業グループがタッグを組んだ2プロジェクトが日米で資金調達:入門クラウドファンディング(2/2 ページ)
日本のメーカーや工場が世界に誇る技術をもっていることはよく知られていますが、その生かし方や売り出し方についてはまだまだ課題があります。しかしその分、課題を解決する方法さえあれば、大きな可能性を秘めているとも言えます。
13年12月現在、本プロジェクト・チームは、海外と日本両方で調達に成功した資金を元に、ラピロ発売に向け鋭意開発を続けています。
日本のメーカーや工場が世界に誇る技術をもっていることはよく知られていますが、その生かし方や売り出し方についてはまだまだ課題があります。しかしその分、課題を解決する方法さえあれば大きな可能性を秘めているとも言えます。
ラピロ・プロジェクトは、各社の優秀な技術を組み合わせて誕生したプロダクト(製品)が、英語圏と日本のクラウドファンディング・プラットフォームを利用して、最終的に開発費の資金調達に成功したという点において、日本の同様の企業や組織、クリエイターにとって大きなヒントとなる事例です。
以上、2つの事例を紹介しました。耳慣れない言葉がいくつか登場して分かりにくかったかもしれませんが、まずクラウドファンディングの活気ある現場を紹介したかったのです。ここで第1に鍵となっているのが、すでに言葉としては何度も登場しているテーマ「クラウドファンディング」です。
「クラウドファンディング」とは、その名の通り「クラウド(Crowd)= 人々、大衆」からの「ファンディング(Funding)=資金調達」、つまり「銀行や投資家など金融の専門家ではない、一般の人たちから集める資金調達手法」のことを指します。よく混同されますが、「クラウド・コンピューティング(CloudComputing)」とは関係ありません。
最近では特に、インターネット(「プラットフォーム」と呼ばれるウェブサイト)を介して行われることが多くなりました。11年頃から日本でも専用プラットフォームが登場し、注目が集まり始めています。最近ではテレビや新聞で特集されることもあるので、もしかしたら聞いたことがある人もいるかもしれません。
とは言え、クラウドファンディングの意味するところは知っていても、「銀行などからの資金調達が難しい個人クリエイターや非営利組織が利用するもの」と思っている人も多いのではないでしょうか。しかし、現在では個人の創作活動、公共分野でのプロジェクトのみならず、新規事業開発から既存ビジネス・モデルの見直しの手段として、起業したばかりの会社、あるいは起業にまで至らない「チーム」はもちろん、中小から大手まで、さまざまな規模の企業、組織が利用を始めています。その波はラピロ・プロジェクトの事例に代表されるとおり、日本にも訪れており、今後多くの個人や組織がクラウドファンディングを活用することが予想されます。
(つづく)
著者プロフィール:
山本純子(やまもと・じゅんこ)
株式会社アーツ・マーケティング代表。1997年、慶応義塾大学文学部美学美術史学専攻卒業。
大学在学時よりゲーム業界に携わり、主にオンライン・ゲームのマーケティング、調達、事業開発等に従事。
2009年、慶応義塾大学大学院アート・マネジメント分野修士課程に入学。同年末にITの力で芸術を広めるために(株)アーツ・マーケティングを創業。
2011年、修士課程修了後よりクラウドファンディングの研究を始め、慶応義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)を経て、現在、企画・コンサルティング・事業開発、および講演・レクチャー等に取り組む。
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