職業人生の出発にあたり、心得ておきたいこと:新社会人に贈る(4/5 ページ)
この春、就職する新社会人は、いまどんな気持ちでいるのでしょうか。不安と期待……そんな気持ちが入り混じっているかもしれません。これから何十年と続く職業人生の出発にあたり、大切なことをお伝えします。それは……。
仕事にどんな意味を与えられるか
「仕事との関わり方」の2つめの観点は「仕事への意味付与」です。みなさんは、最初に与えられる業務に対し、「これをなぜやるか?」「この業務は世の中の何につながっているか?」といったような意味を見出すことはできないかもしれません。ところがだんだん業務が一人前にこなせてくるころから、心に多少の余裕ができて、自分のやっている仕事に関し、「なんのため」という意味を考え始めることになるでしょう。
下の図は私が「働く動機の5段階」としてまとめたものです。ここで言う動機は、その仕事をやる意味とほぼ同じと考えてください。誰しも「なぜその仕事をやるのか」と問われて、「食うため=お金を得るためだ」というのは当然あります。それは働く理由として最もベースにあるものです。ですが、古くから「人はパンのみに生きるにあらず」と言われるように、人は働くことにそれ以上の意味を見出そうとします。「お金」以降の動機を、私は「承認」「成長」「共感」「使命」ととらえました。
人が持つ働く動機は1つだけではありません。図に示した5つを複合的に持つものです。その複合具合は人さまざまです。最も抱くことが難しいのが5番目の「使命」です。「自分はこの仕事をやるために生まれてきた!」「仕事を通じてこれを世の中に残していきたい!」といったような、仕事に何か強力な意味を与えることができる人は、実はそう多くはいません。試しに、職場で先輩社員や上司にきいてみてください。たぶん口ごもってしまう場合が大半ではないでしょうか。
「仕事にそんな高尚な意味なんて必要ない」と言う人もいます。そして実際、仕事に使命感などを抱かなくとも、仕事をうまく、楽しくやっている人はたくさんいます。ですが、そんなときに私は、ヴィクトール・フランクル(オーストリアの心理学者。第二次世界大戦下、ナチス・ドイツの強制収容所を生き抜き、そのときの体験を『夜と霧』に著した)が書き残した次の言葉を研修などで紹介しています。
人間とは意味を求める存在である。意味を探し求める人間が、意味の鉱脈を掘り当てるならば、そのとき人間は幸福になる。彼は同時に、その一方で、苦悩に耐える力を持った者になる。───『意味への意志』より
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