職業「プラントハンター」――なぜこの男は命を懸けて花を採り続けるのか :仕事をしたら“珍しい花”を見つけた(前編)(3/5 ページ)
「プラントハンター」という仕事をご存じだろうか。彼らは珍しい花を求めて、ジャングルの中を駈けずり回ったり、断崖絶壁にへばりついたりしている。なぜ命を懸けてまで花を採り続けるのか。プラントハンターの西畠清順氏に、話を聞いた。
仕事の流れは、大きくわけて2つ
清順: 大きくわけて、2つありますね。1つは、植物業者さんから「桜の枝の長さは3メートル、○月にほしい」といった注文を受けたら、それを届けなければいけません。自社の農場や温室でたくさんの木や花を育てていて、その在庫の中から売ります。そこにない場合は、山に行って採る。山にもない場合は、どこかから仕入れたり、海外に行って採ることもありますね。
もう1つは、“設計士”のようなことをしています。「このスペースに、○○という花がほしい」という注文を受けて、納める。そうした仕事に創造性は必要ないですが、「このスペースをどうにかしてほしい。何かアイデアはないですか?」という相談を受け、いろいろな提案をさせていただく。こうした仕事は1人ではできないので、「フラワーデザイナーはこの人はいかがでしょうか?」といった感じで、プロデュースしていくんですよ。
土肥: 「これでいきましょう」と決まって、その花が海外にしかなければ、現地にまで足を運ばれるのですか?
清順: はい。ただ、海外に行って、目的の花を手にして、船で運搬して……となると、かなりの時間がかかる。なので、大量の在庫を抱えているんですよ。いつなんどきどんな仕事を言われても、できるだけ対応できるように。在庫を金額にすると、何億か何十億になるか分かりませんが、大量の花を所有しています。その在庫の中にないモノは、海外に行って調達する、というわけですね。
土肥: 「海外に行って調達」と簡単に話されますが、それって簡単なことではないですよね。「その花はタイにしかないので、じゃあこれから飛んで、2〜3日後には届けることができますよ」といった話ではないですよね。勝手に採って、勝手に持ち帰ったら、お上から怒られちゃいますから。
関連記事
- 宋文州氏が語る、日本人が「多様性」を受け入れられないワケ
日本に多様性は必要だと思いますか? こう聞かれると、ほとんどの日本人は「必要だ」と答えるはずだ。にも関わらず、なぜ日本では多様性を受け入れる考え方が広がらないのか。その疑問を、ソフトブレーン創業者の宋文州氏にぶつけてみた。 - ミドリムシが世界を救う? そんな時代がやって来るかもしれない
「ミドリムシ」と聞いて、どんなことを想像するだろうか。「青虫」「ミトコンドリア」などを思い浮かべる人も多いのでは。ミドリムシを増やして、地球そして人類を救おうとしている会社がある。その名は「ユーグレナ」。社長の出雲充氏に話を聞いた。 - 観光客はどこに行ってるの? 位置情報のデータから分かったこと
「観光客がどこに行っているかって? そんなの分かるはずがない」と思っている人も多いのでは。実は、ゲームやスマートフォンの位置情報を使って、“観光客の動き”が見えてきたという。大分県の湯布院や岩手県を訪れた人は、どんな特徴があるのだろうか。 - なぜ無酸素で8000メートル峰を登るのか――登山家・小西浩文
世界には8000メートル超の山が14座存在している。酸素と気圧は平地の3分の1、気温は平均マイナス35度の世界に、登山家の小西浩文氏は無酸素で頂上を目指している。なぜ彼は危険を冒してまで、山に登り続けているのだろうか。 - 日本人初の快挙! 8000メートル峰14座登頂・竹内洋岳氏インタビュー
世界には8000メートル超の山が14座ある。5月26日、ダウラギリに登り、日本人で初めて8000メートル峰14座全ての登頂に成功したのが、登山家の竹内洋岳氏、41歳。世界で29人目の快挙を成し遂げた竹内氏に、インタビューを行った。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.