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インタビュー

職業「プラントハンター」――なぜこの男は命を懸けて花を採り続けるのか 仕事をしたら“珍しい花”を見つけた(前編)(5/5 ページ)

「プラントハンター」という仕事をご存じだろうか。彼らは珍しい花を求めて、ジャングルの中を駈けずり回ったり、断崖絶壁にへばりついたりしている。なぜ命を懸けてまで花を採り続けるのか。プラントハンターの西畠清順氏に、話を聞いた。

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「金銭欲」が必要


大きな木を輸送している

土肥: プラントハンターってどういったタイプの人が向いているのでしょうか。

清順: どんなに険しい道でも登っていくアスリートのような体力、学者のような詳しい知識、冒険家が持っているような好奇心――こうした能力を持っている人は向いているでしょうね。あと……「欲」が必要かな。

土肥: どういった欲でしょうか?

清順: 「花が好き」という人はたくさんいますよね。趣味で花を育てたり、庭をいじるのが好きだったり。ただ、プラントハンターはプロという立場なので、自分の足で立たなければいけません。つまり、お金を稼がなければいけない。

 「オレは、誰もが手にできない花を見つけて、大金を手にしてやろう」「この仕事で、もうけてやろう」といった「金銭欲」が必要ではないでしょうか。

 もちろん「金銭欲」だけではなく、最高の花を見つけて「人に影響を与えよう」「社会に貢献してやろう」という気持ちも大切なのかもしれません。

土肥: かもしれない……ということは、あまり「社会に貢献」という意識はない?

清順: オレは「社会に貢献する」ために、この仕事を始めたわけではありません。誤解を恐れずに言うと、全部「自分のため」。なぜこの仕事に情熱を注いでいるかといえば、花の魔力に取りつかれているから。最高の花を見つけた瞬間、心の底からわきあがる快感に取りつかれているのでしょうね。

 オレにできることは、木に登って、崖にへばりついて、待っていてくれる誰かのために花を探して、届けることくらい。華やかな仕事ではないかもしれませんが、届けられた花を見て、その人の人生が豊かになってくれるのであれば、それが社会に貢献していることなのかもしれませんね。

土肥: 花を好きになる、ってどういうことなのでしょうか。桜を見て、ヒマワリを見て、「あ〜キレイだなあ」と感じる人は多いはず。でも、清順さんが言う「花の魔力」に取りつかれている人なんて、あまりいないと思うんですよ。どういったきっかけて、花の魔力に取りつかれたのでしょうか?

清順:  それはですね……。

つづく


西畠さんが作業をしていると、ラクダが寄ってきた
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