懲罰降格「Facebookノリ騒動」に学ぶこと:臼北信行のスポーツ裏ネタ通信(2/4 ページ)
采配批判などを理由に二軍へ降格した、DeNA中村紀洋内野手の「ノリ騒動」。この騒動の裏側で「ゴースト・ノリ」と呼ばれる第三者が介在していたようである。また、この騒動を冷静にひもとくとビジネスパーソンへの教訓がいくつか垣間見えてくる。
二軍降格ペナルティの内情
「チームとして勝つために最善を尽くす。これは野球選手として当然のことです。チーム方針に従い、歯を食いしばって2軍で調整してきた。いつかチャンスはあると信じて。それでも、今回の相談するという行為が「批判」と映ったならば寂しいことですし、自分としてはどうモチベーションを保つべきか苦悩しています。勝つために1軍のフィールドに僕は必要ないのだろうか…。」(原文ママ)
チームがナイターを戦っている時間帯であったにも関わらず、5月7日の夜に更新された中村のFacebookには、こう書かれてあった。簡単に言えば、自分の正当性を世間に訴えて多くのファンから同情を買おうとしたわけだが、この目論見は大失敗だった。Facebookには同情どころか批判的なコメントが多く寄せられ、ネット上でもノリ関連のバッシングネタが数多く取り上げられ、炎上した。当たり前である。
さすがにマズイと思ったのであろう。当人は翌日のFacebookで「チームが試合中に個人的な投稿をし、チーム、そして何よりファンの皆様に不快な思いをさせてしまったことを心よりお詫びいたします」と詫びを入れたが、時すでに遅しであった。
球団側は「二軍降格がペナルティ」として中村にこれ以上の罰則を課さなかったが、これは“大甘裁定”と言わざるを得ない。中村は2年前(2012年8月)にもチーム方針に従わない言動があったとして二軍への懲罰降格を受けている。初犯ではないのだ。一度ならず二度までも同じような行為を繰り返す選手に「今回は批判ではなく、相談しただけです」という言い訳は通用しない。二度あることは三度ある。チームは、再犯を防ぎ、他のチームメイトに示しをつける意味でも断固とした態度で中村に厳罰を下すべきであった。
それに、采配批判と同様に問題視されなければならないのは中村が騒動の内幕を自身のFacebookで暴露してしまったこと。守秘義務を忘れ、自分の都合で勝手にバラしてしまった。とんでもない背信行為である。厳しい会社ならば、即刻解雇もしくは減俸処分などの厳罰に処せられるはずだ。
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