オバマを「サル」呼ばわり、北朝鮮メディアの暴走が止まらない:伊吹太歩の時事日想(1/4 ページ)
世界のメディアから「世界で最も閉鎖された国」と呼ばれる北朝鮮。最近の北朝鮮メディアは、専門家が眉をひそめるほどの“暴言”の嵐だという。米国のオバマ大統領を「サル」と呼び、韓国の朴大統領を「慰安婦」とこき下ろす。まさに言いたい放題なのだ。
著者プロフィール:伊吹太歩
出版社勤務後、世界のカルチャーから政治、エンタメまで幅広く取材、夕刊紙を中心に週刊誌「週刊現代」「週刊ポスト」「アサヒ芸能」などで活躍するライター。翻訳・編集にも携わる。世界を旅して現地人との親睦を深めた経験から、世界的なニュースで生の声を直接拾いながら読者に伝えることを信条としている。
世界のメディアから「世界で最も閉鎖された国」と呼ばれる北朝鮮。金正恩・第一書記が国を引き継いでから、世界のメディアは謎めいた北朝鮮の動向を好奇の眼差しで見ている。そんな風潮に最近、北朝鮮側もメディアを通じてひんぱんに反撃を行っている。
米CNNは「北朝鮮観測筋から同国が4度目の核実験に着手するとの情報が出る中、朝鮮中央通信の報道内容を追うウェブサイトによると、オバマ大統領、朴大統領への言及はここ数カ月間増えている」と報じた(参考リンク)。
もちろん北朝鮮による“口撃”は今に始まったことではないが、最近のものは、かなり辛辣(しんらつ)になっていると言える。特に北朝鮮の人権に関する国連調査委員会が2014年2月に包括的な報告書を公表してから、北朝鮮は国営通信の朝鮮中央通信社(KCNA)や労働新聞で、米国や韓国への批判攻勢を強めている。
例えば韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領に対しては、バラク・オバマ米大統領の訪韓に合わせた2014年4月27日付の記事に、朴が「誰かをやっつけてほしいと悪党に真剣に懇願する軽率な少女」のようで「“ヒモ”にセックスを提供する代わりに他の人に危害を与えるようお願いする、気まぐれな娼婦」だと批判した。
さらに、記事の中で「ダーティーな慰安婦」「国家を売る卑劣な売春婦」などの激しい言葉を散りばめている。朴が大統領になる前にも、北朝鮮は彼女を「ダーティーな売春婦」と表現しているが、最近は韓国でも敏感な話題である「慰安婦」という言葉を使うなど、表現がさらにエスカレートしているようだ。
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