オバマを「サル」呼ばわり、北朝鮮メディアの暴走が止まらない:伊吹太歩の時事日想(2/4 ページ)
世界のメディアから「世界で最も閉鎖された国」と呼ばれる北朝鮮。最近の北朝鮮メディアは、専門家が眉をひそめるほどの“暴言”の嵐だという。米国のオバマ大統領を「サル」と呼び、韓国の朴大統領を「慰安婦」とこき下ろす。まさに言いたい放題なのだ。
オバマは「政治家どころか人間以下の醜いもの」
米国に対してはさらにひどい。最近の北朝鮮による米国批判は、米国のある専門家に「一線を越えている」と言われるほど痛烈だ。5月2日付でKCNAに掲載されたオバマ訪韓に関する記事では、個人攻撃の差別的・侮蔑的な発言が激しさを増し、欧米の北朝鮮専門家らも眉をひそめるレベルになっている(参考リンク)。
内容はこうだ。まずはオバマを「彼(オバマ)を見れば見るほど、アフリカの原生林にいる猿に見える」「彼が猿に似すぎていることに驚く」と指摘。さらに、「オバマが猿であり、人間ではないことは確かである。その理由は、彼がどんな場面でも行儀が悪く、落ち着きがなく赤い尻を振り、あちこちの木に上ってフルーツを取ったり、地面で食い物を拾う猿のようだからだ」「政治家どころか人間以下の醜いもの」とまで書いた。
最後は「世界最大のアフリカの動物公園で猿の群れと住み、見物人が投げ入れるパンのかけらを舐めているのがお似合いだ」とこき下ろす。この記事は、労働者の寄稿という体になっているが、普通では報じられないレベルの悪意ある言葉に溢れている。ここでは、北朝鮮の実態を知る上で公益性があると思い、紹介したことをご理解いただきたい。
もちろん米国要人への批判も今に始まったことではない。過去には北朝鮮外務省が、ヒラリー・クリントン元国務長官をつかまえて「時に小学校の女子生徒のようで、時にショッピングに行く年金受給者に見える」と発言して話題になった。それでも、当時はまだ先代の金正日の時代であり、内容の悪質さは今回のオバマに対するものよりはるかにマシだ。
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