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オバマを「サル」呼ばわり、北朝鮮メディアの暴走が止まらない:伊吹太歩の時事日想(3/4 ページ)
世界のメディアから「世界で最も閉鎖された国」と呼ばれる北朝鮮。最近の北朝鮮メディアは、専門家が眉をひそめるほどの“暴言”の嵐だという。米国のオバマ大統領を「サル」と呼び、韓国の朴大統領を「慰安婦」とこき下ろす。まさに言いたい放題なのだ。
北朝鮮から「米国」について学ぶ?
これとは別に、KCNAは4月30日付けで、米国の人権侵害についても言及している(参考リンク)。米国での暮らしは“生き地獄”だと言う北朝鮮による指摘は次のようなものだ。
- 世界で最も人権を侵害している国なのに、人権の「モデル」であるようなフリをしている。人権侵害の国であることは、フロリダの裁判所で無実の黒人少年を銃殺した白人警官に昨年(2013年)、無罪判決が出たことで明らかとなった。
- アメリカ人の52%が今も国内に差別があると答え、46%がさまざまな差別がこれからも続くと主張している。
- 現在、週平均で30万人が失業者だが、適切な対策が行われないままである。
- 昨年、46.5万人が貧困に陥っている。ニューヨーク市では、6人に1人の市民が飢餓状態にある。
- 米国の囚人数は現在220万人で、世界でも最も多い。刑務所が不足しており、カネのために収容施設を提供している一般人がいる。
- 米政府は、多くのカメラや盗聴装置、無人機までも使って「国の安全保障」という大義名分で、国民と外国人のすべての動きを監視している。
- 最高責任者のオバマは毎日ぜいたくに溺れ、国民の惨めな生活を無視して外国に旅して何億ドルというカネを浪費している。
皮肉なことに、北朝鮮は米国が抱える問題点をある程度、的確に指摘している。「白人警官」というのは、実際は警官ではなく元自警団員だ。ニューヨーク市民の「6分の1」というくだりも、飢餓とまでは言わないが、実際には、政府が発行する食料配給券を利用しているおおよその人数である。貧困数は正しいし、NSA(米国家安全保障局)の監視や刑務所不足といった話は、実際に米国で大きな問題になっている事柄だ。
またオバマの浪費についても、何億というのは言い過ぎだが、最近、オバマとジョー・バイデン副大統領が、2009年からこれまでに家族との旅行などを含めて税金から4000万ドルを使っていることが明らかになったばかりだ(オバマが一度飛行機でゴルフに行くだけで、専用機の運行などで150万ドルほどかかる)。
この記事は、日本人があまり知らない、今の米国を知ることができる内容に仕上がっている。北朝鮮から米国について学ぶ、とは何とも奇妙な感じがしなくもないが、北朝鮮のほうがもっとひどいのは言うまでもないし、北朝鮮とは異なり、米国ではこうした問題は国民に共有され、広くオープンに議論されている。
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