オバマを「サル」呼ばわり、北朝鮮メディアの暴走が止まらない:伊吹太歩の時事日想(4/4 ページ)
世界のメディアから「世界で最も閉鎖された国」と呼ばれる北朝鮮。最近の北朝鮮メディアは、専門家が眉をひそめるほどの“暴言”の嵐だという。米国のオバマ大統領を「サル」と呼び、韓国の朴大統領を「慰安婦」とこき下ろす。まさに言いたい放題なのだ。
まさに言いたい放題――韓国や同性愛者もこき下ろす
ちなみに、朝鮮労働新聞は韓国の人権侵害についても記事を出している。韓国の北朝鮮情報専門サイト、デイリーNKによれば、労働新聞は4月30日付で「南朝鮮の人権問題――世界最悪」という記事を掲載した。
「彼らは『政府』や『法』があると言うが、傀儡(かいらい)以外の何ものでもない。植民地支配のアメリカ人に使われている道具に過ぎない」。韓国で北朝鮮寄りの発言がネットで削除されていることなどについて、「民主的な権利や政治的な自由も、無情にも侵害されている」と糾弾した。また韓国は「失業と貧困」の国だとも指摘する。
北朝鮮は、国連の報告書をまとめた国連調査委員会のマイケル・カービー委員長にも、中傷の矛先を向けている。カービー委員長はゲイであることをカミングアウトしているが、北朝鮮はKCNAを通じて「『報告書』をまとめたカービーについてだが、40年余りの長きにわたる同性愛者である、気持ち悪い年配の好色な人物だ。彼は現在、70歳を超えているが、いまだ同性愛のパートナーと結婚しようと望んでいる」と批判し、「そんな同性愛者が他人の人権問題を扱っているとは話にならない」と、無茶苦茶な言い草で一蹴している。
まさに言いたい放題である。私たちなら口にするのもはばかられるようなコメントを容赦なく行うことが、新体制になっても孤立が続く北朝鮮が、世界から忘れられないための新たな戦術なのかもしれない。だとすれば、作戦は今のところ、十分に成功していると見ていいだろう。ただ、もうこれ以上ないくらい辛辣な表現をしているだけに、次はどう出るのか気になるところではある。
関連記事
- 北朝鮮のミサイル脅威にどう対処するべきか
北朝鮮が進めるミサイル開発。日本全土が射程に入る中、我々はどのような防衛を想定すればいいのだろうか。 - 結局、オバマと安倍は、仲がいいのか悪いのか?
米国のバラク・オバマ大統領が3年半ぶりに日本を訪問した。最大限の「おもてなし」で迎えた安倍首相だが「オバマ氏は仕事の話ばかり」と、空振り感が漂う。果たして、訪問を通じて2人は仲良くなったのだろうか。 - シリア空爆で「米国は世界の警察官ではない」と言いだしたオバマ大統領の真意とは?
シリアが化学兵器の備蓄を申告した。今後、少なくとも半年以上の時間をかけて、検証と破棄に向けたプロセスが動くだろう。ホッとしたのは、アサド大統領とオバマ大統領の2人だ。 - オバマのキスを拒絶するスーチー女史の本音――ミャンマーで何が起きている?
オバマが米大統領として初めてミャンマーを訪問した。それは世界唯一の超大国がその国をとても重要な国だと考えているというメッセージだ。だが、アウンサンスーチーは好ましく思っていないようだ。 - 連載:伊吹太歩の時事日想 一覧
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.