大阪市の“しょぼい給食”問題、どうすれば解決する?:窪田順生の時事日想(2/3 ページ)
大阪市の給食が「少なすぎる」というクレームが生徒や親から上がっている。財政破たん寸前の大阪市が給食を導入するのは、そもそも厳しい話なのだ。では、どうすればいいのだろうか。
給食費はタダにするべきか?
ただ、大阪市の財政は破たん寸前だ。給食の導入は、倒産を控えた会社が社会貢献活動に力を入れます、というのと同じくらい荒唐無稽な話になる。
「給食センター」をドカンと建設するカネなどどこにもないので、民間の給食業者にシビアな条件で丸投げする。材料の一括購入といった企業努力をしたところで「1食300円」という“縛り”で提供できるものはたかが知れている。そこへ消費増税やら原油高の逆風が加われば、どんな“しょぼい給食”が出るのかは想像に難くない。
だったら、弁当持参が厳しい生徒だけに給食を提供し、これまで弁当を持参できた生徒には、そのまま弁当をお願いする――という方法を採れば、市の負担も減り、少しはまともな弁当になるのでは、と思う人もいるかもしれない。しかし、もちろんそれはできない。教育現場で“格差”をつけるなど、もってのほかという意見があるからだ。
それに加えて現在、全国に広がる「給食無料化」の動きにも反する。
給食費踏み倒し問題や、子どもの貧困問題などが深刻化していくなかで、その解決策として「うちは給食をタダにしますよ」という決断を表明する自治体が2年ほど前からポツポツ出てきたのだ。
その背景には、住民が減少する状況下でどうにか子育て世代を呼び込みたいという生き残り戦略もあるが、何より「親の経済状況によって子どもの未来が左右されるのは恥ずべき社会である」みたいな理念によるところが大きい。この理念と「現実」のギャップがメニューとして現れたのが、この“しょぼい給食”である。
「格差」を埋めようという、理念自体は悪くはないのだが、財政という実力が伴わないため、かけ声だけが虚しく響く。結果として全体のレベルを引き下げることで、均等を保つ形になっているのだ。
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