大阪市の“しょぼい給食”問題、どうすれば解決する?:窪田順生の時事日想(3/3 ページ)
大阪市の給食が「少なすぎる」というクレームが生徒や親から上がっている。財政破たん寸前の大阪市が給食を導入するのは、そもそも厳しい話なのだ。では、どうすればいいのだろうか。
「格差」を認めた柔軟な対応を
じゃあどうすればいいのか。個人的には「そこにある格差」を、ある程度認めた柔軟な対応をすべきだと思う。冒頭の朝霞基地の食堂は、独身の隊員は無料だが、結婚した隊員はそれだけ手当がついているということで、料金を支払うシステムを採用している。
考えてみれば当然ではある。自衛隊の目的は「国を守る」ことで、食堂という食料供給システムは目的達成のための手段でしかない。それを維持するためには、同じ目的を持つ者で負担を分けるという発想だ。
保護者も国も「すべての子どもたちに教育の機会を与える」という目的は一致しているはずだ。これをタダにしようというなら分かるが、「学校給食」というのはあくまでその目的を達成するシステムにすぎない。システムの維持ばかりに目がいってしまうと、本来の目的を見失う。“しょぼい給食”によって、多くの子どもたちの学びに支障が出たのはその典型だ。
もちろん、みんなが平等にお腹いっぱいになるのがいいに決まっている。だが、「国家が全国民を飢えなく食べさせる」というスローガンを掲げた旧ソ連や北朝鮮が、すさまじい飢餓で多くの国民を飢え死にさせたことからも分かるように、今の世界で完ぺきな平等など実現できるわけがないのだ。
少子化で子どもは減る。そして、給食費を踏み倒そうという親も増えている。こういう世界でわれわれは何を平等にして、何に差をつけるか柔軟に対応すべきではないか。
日本は貧困国だという人がいる。子どもの貧困問題などもあるし、納得する部分がないわけではないが、そういう“貧困”を克服するためにも、なんでもかんでも国のカネにタカる心の貧しさからも脱却したい。
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