なぜミニストップのソフトクリームは真似されないのか:仕事をしたら“アイス”ができた(2)(5/6 ページ)
某コンビニのPB商品がヒットすれば、競合他社が同じような商品を販売する――。コンビニは“真似の歴史”を刻んで、拡大してきたわけだが、真似されないモノもある。そのひとつが、ミニストップのソフトクリーム。その理由は……。
競合他社は真似できない
山盛: ソフトクリームをつくるのは難しいんですよ。例えば、機械を一定の時間使わなければ、ソフトクリームが出にくくなります。ソフトクリームというのは空気と水で冷やしているので、きちんとした時間を守らなければ、キレイなモノができないんですよね。
またソフトクリームをつくるにあたって、高さと重さは決まっています。大きいモノが出てくるとお客さまは喜ばれるかもしれませんが、きちんとした量を提供しているお店にクレームが入ってしまう。「なぜ、お前のところの店のソフトは小さいんだ!」と。そうしたクレームが出ないように、同じ高さ、同じ重さにしなければいけません。
ちなみに、新入社員は4月に各店舗に配属されますが、初めての試験が5月にあります。この試験では、ソフトクリームの実技試験があるんですよ。ペーパー試験に合格しても、実技が不合格だとダメ。この試験に受からないと、次のステップに進めません。なので弊社の社員はソフトクリームをつくるのが上手なんですよ(笑)。
土肥: 実技試験があるとは。そんなに難しいのですか?
山盛: 難しいですね。高さ、重さ、形――すべてが難しい。また機械の状況によって、固くなりやすかったり、柔らかくなりやすかったりするので、そうした状況を考えながら、つくっていかなければいけません。
土肥: ワタシの知り合いが某コンビニで店長をしているのですが、その人は以前、お店でソフトクリームをつくっていました。でも、しばらくして止めちゃいました。
山盛: ソフトクリームを販売し続けるのは難しいんですよ。まず管轄の保健所に申請書を提出しなければいけません。また厨房に機械を設置しなければいけないので、そのスペースが必要になります。さらに機械のメンテナンスが大変で、これにはノウハウが必要となってきます。
このように「ソフトクリームでもやればもうかるだろう」と思っても、すぐにはできません。また機械のメンテナンスやアルバイトの技術も必要になってくるので、続けることが難しい。
土肥: なるほど。ということは、競合他社はソフトクリ―ムを始めようと思っても、なかなかできないわけですね。全店でスタート……と思っても、すべてのオーナーに試験を受けてもらわなければいけない。また店内スペースの問題などを考えると……かなりハードルが高いですね。
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