日本は最後の“黄金郷”――黒船カジノと国産カジノの戦いが勃発:窪田順生の時事日想(2/3 ページ)
安倍首相が訪問中のシンガポールでカジノを視察した。これまで“カジノ法案”はなかなか成立しなかったが、首相が視察したことで、国内外の企業から「ひょっとしたら……」という機運が高まってきている。
業者の目の色が変わった
もうお分かりだろう、それが今回の「カジノ視察」である。
この効果はてきめんで、これまで慎重な態度をとっていた業者も目の色が変わっている。例えば、安倍さんが訪問する3日前の5月27日、「リゾート・ワールド・セントーサ」の開発・運営を行うゲンティン・シンガポールは、日本に8つの完全子会社を設立したと発表した。やる気マンマンだ。
目の色が変わったのは、外資系だけではない。この翌日、コナミも日本でのカジノ事業を目的とした子会社「コナミゲーミングジャパン」(仮)を設立すると発表したのだ。
みなさんからすると、スポーツクラブやゲームのイメージが強いかもしれないが、実はコナミは全世界で365のカジノライセンスを取得している巨大カジノ企業。IRの運営主体としての経験はないものの、スロットマシーンの製造・販売やIRの管理システムでは世界的な実績もある。つまり、安倍さんの視察は、これまではなかなか腰が重かった「国内カジノ企業」も本気にさせたというわけだ。
現状、日本のIR構想はシンガポールをお手本にしている。ゆえに、経験豊富な海外IRオペレーターに投資・開発をさせて、日本側のリスクを最大限抑えようという話になっているのだが、実は日本とシンガポールには決定的な違いがある。
シンガポールはカジノの経験がまったくのゼロだったが、日本の場合、先に触れたコナミのように「カジノ企業」があり、カジノに間接的にかかわる企業も多いということだ。例えば、首相が視察をした「ワールド・セント―サ」は鹿島建設がつくり、セキュリティシステムはNECが手掛けている。つまり、こういう力を結集すれば、理論的には「国産カジノ」も実現可能なのだ。
もし、「国産カジノ」という方向に話が転換した場合、個人的に動向を注目している人物がいる。パチスロ界の雄・ユニバーサルエンターテインメントの岡田和生会長だ。
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