“何となく”客、振り向いて──クルマ販売にビッグデータ、何が変わるのか:店舗×ビッグデータ(2/5 ページ)
中古車販売店を「テーマパークのように」──。幹線道路沿いでよく見かける大型の中古車販売店に、これまでなかったスタイルで挑む店舗が出現した。狙いは「何となく」客。「ガリバーWOW!TOWN」の取り組みから、ビッグデータ導入で何が変わるのかを探った。
「テーマパークを目指しました」 なぜ?
「テーマパークを目指しました」──。埼玉県さいたま市の「WOW!TOWN大宮」。広大な敷地こそ周囲の大型中古車販売店と似ている。ただ、展示されているクルマの数は少ない。店内も、まるで喫茶店のような、これまでの中古車販売店とは趣がかなり違う空間が広がっている。実際に商談スペースを兼ねるゆったりスペースのカフェエリアを設け、階上には託児スペースも用意した。
「来店していただいたら、まずはシアタールームで紹介ビデオを見ていただきます」(ガリバーインターナショナル WOW!事業戦略セクションの菰方清成氏)。
まずこんな方法から始まる。重ねて述べるが、ここは中古車販売店。これまで経験がないと思う。紹介ビデオでは、WOW!TOWNとは何か、この店舗で何ができるかを簡単に説明するもので、内容はある程度予想がつくかもしれない。ただ「店を内容を知っていただく主な目的に加え、何か違うね、なんだかテーマパークのようだねと、まずはワクワク感を持っていただく目的があります」(菰方氏)という。
続いて店内のPCで「いま、あなたはどんなクルマを望んでいるか」を見る適正アンケートに答える。アンケートは客の「理想と現実のズレ」を計るため。例えば、家族5人で来店しつつも、クルマへ求めるものとして“徹底した格好よさ”や“ドライブする楽しさを”などと回答すれば、おそらくスポーツカーがリコメンドされる。家族のクルマには適していないはずだが、まずはこれでいい。
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