“何となく”客、振り向いて──クルマ販売にビッグデータ、何が変わるのか:店舗×ビッグデータ(3/5 ページ)
中古車販売店を「テーマパークのように」──。幹線道路沿いでよく見かける大型の中古車販売店に、これまでなかったスタイルで挑む店舗が出現した。狙いは「何となく」客。「ガリバーWOW!TOWN」の取り組みから、ビッグデータ導入で何が変わるのかを探った。
決められた順路で、クルマをチェック──この意味は?
ここまで終わると、店内で使うiPad miniが手渡される。WOW!TOWNの展示車は、中古車販売店で見かける「**万円」などと書かれた値札を設けず、代わりに大きいQRコード(カメラで情報を読み取れる二次元バーコード)が張ってある。これをiPad miniで写すと、展示車の価格、車種の基本スペックや主な特徴、走行距離など展示車の状態、在庫日数、類似車種といった詳細な情報を手元でチェックできる仕組みだ。
店内は「家族向け」「スタンダード軽」「定番コンパクト」「人気ハイブリッド車種」「アウトドア派」「ハイクラス」などといったテーマ別のゾーンに分けられ、なんと「順路」が決まっている。客は、この順路に沿って気になった車種をiPadで写しながら、まずは店内を「一周」する。次のゾーンにはどんな車種があるか、気になったこのクルマはいったいいくらか、このタイプのクルマはこういった生活シーンに向いているかも……。確かに、テーマパークでアトラクションを楽しむかのようなゲーム性の要素がちりばめられている。
この「チェックする行動」が第一段階だ。お父さんは「あのスポーツカーを」と、お母さんは「エコカー」、子どもは「キャンピングカー」などと興味を抱いたクルマはさまざまだろう。
ここに、iPadを軸に顧客行動を記録するのに導入した同店ならではの管理システムが効いてくる。まずはどんなクルマをチェックしたか、そしてこの先、例えば詳細のスペックや在庫状況、キズの有無情報などを、何分かけて、いかに深く、何回、どんなタイミングで探ったかといった行動の記録がログとして残る。
順路通り回り、最後は店内のカフェスペースへ。担当の営業スタッフと大きなデスクトップPCの画面で結果を振り返り、スタッフとどんなクルマをチェックしたかを振り返る。
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