えっ、前の飛行機を抜いてもいいの? パイロットの知られざる世界:仕事をしたら“空”を飛べた(2/6 ページ)
パイロットといえばエリート中のエリートというイメージがあるが、飛行機を操縦しているときどんなことを考えているのだろうか。JALでボーイング777の機長を務める近藤さんに話を聞いたところ、意外な答えが返ってきた。
操縦中に考えていること
土肥: パイロットになるには、3つのルートがあるそうですね。大学(または大学院)を卒業して、その後航空会社に入社して訓練を受ける「自社養成コース」。大学を卒業(または教養過程を修了)し、航空大学に入学してライセンスを取得して入社する「航大コース」。自分でライセンスを取得して、入社する「フライトスクールコース」。
航空会社に入社できたからといって、すぐに「一人前のパイロット」になれるわけではなく、そこから厳しい訓練が待ち受けているそうで。地上業務を1〜2年、副操縦士になるための訓練を2年半ほど経験して、副操縦士に。そして、副操縦士として7〜10年のフライト実績を積んで、やっと機長になれるそうですね。
近藤: 機長になれたからといって、それで終わりというわけではありません。毎年行われる身体検査に合格しなければ、飛行機を操縦することはできません。また、悪天候、エンジン故障、警報装置が鳴った場合など、いろいろなシチュエーションが与えられ、それを冷静かつ迅速に対応しなければいけない訓練があるんですよ。それが年4回あります。
土肥: パイロットというのは、訓練、訓練また訓練といった感じですが、実際にお客を乗せて操縦しているときは、どんなことを考えているのでしょうか。
近藤: いろいろなことを考えますが、例えば、効率的に飛べる高度はどこか? といったことを考えながら操縦していますね。なぜそんなことを考えているかというと、燃料効率のよい高度を選ぶことによって、使う燃料を減らすことができるから。これは会社がもうけるためというよりも、いまは地球温暖化が問題になっていますよね。飛行機は二酸化炭素をものすごく排出する。ちょっとした心がけで、二酸化炭素の排出量を減らすことができるんですよ。ということで、効率的に飛べる高度はどこか? といったことを考えながら操縦していますね。
土肥: 効率的な高度って、どういうことですか?
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