えっ、前の飛行機を抜いてもいいの? パイロットの知られざる世界:仕事をしたら“空”を飛べた(3/6 ページ)
パイロットといえばエリート中のエリートというイメージがあるが、飛行機を操縦しているときどんなことを考えているのだろうか。JALでボーイング777の機長を務める近藤さんに話を聞いたところ、意外な答えが返ってきた。
効率的な飛び方
近藤: 飛行機というのは、空気が薄いところを飛ぶほうが燃料効率がいいんですよ。ということで、一般論としては、“高いところを飛ぶ”ほうがいい。じゃあ、とにかく高いところがいいのかというと、そうでもない。あのあたりの高度で飛びたいなあ、と思っても、そこは正面から強い偏西風が吹いている。そういった場合は、そこは避けて飛んだほうがいいですね。
あと、効率を考えて、着陸後の地上滑走時に片側のエンジンを切るんですよ。
土肥: えっ、そんなことをして大丈夫なのでしょうか。
近藤: もちろん無理のない範囲で、片側のエンジンを切っています。こうした小さな取り組みの積み重ねで、二酸化炭素の排出量をかなり削減できるんですよね。
冒頭から効率の話ばかりになってしまいましたが、パイロットはお客さまに快適に乗っていただくことも考えています。例えば、天気図を分析して、航空管制官の話を聞きながら、こういう飛ばし方をすれば揺れないだろう、といったことを考え、操縦していますね。でも、天気や機材の故障などが原因で、遅れがでる場合があるんですよね。そういった場合には、お客さまに正直に状況を説明しなければいけません。
土肥: そういえば、パイロットがアナウンスをしていますよね。「気流が乱れるところを飛行するので、ご着席ください」といった感じで。あと、パイロットが言うことといえば「本日のご搭乗、誠にありがとうございました」。
近藤: ドイさんが乗られた飛行機では、パイロットがお礼を言ったかもしれませんが、毎回言っているわけではないんですよ。
土肥: ま、どこの世界にも、お礼を言わない人間がいますからね。
近藤: いえいえ、そういうわけではありません。飛行する時間によっては、早朝や深夜に到着することがあります。そのタイミングで、アナウンスする必要があるのかどうか判断して、その上でお礼を言っているんですよ。アナウンスする前に、客室乗務員に「キャビンの様子はどうです?」と聞いて、「起きている人が多いですよ」ということであれば、アナウンスする。
また、国際線の場合、ファーストクラスのお客さまはお休みになっている人が多い。そういうときには、ビジネスとエコノミーに限定して、アナウンスすることもあるんですよ。
土肥: き、きめ細かいですね。
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