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なぜ住基ネットに採用されたのか 「手のひら静脈認証」の実力:松岡功の時事日想(2/4 ページ)
住基ネットを参照する職員の認証にどんなシステムが使われているかご存じだろうか。「手のひら静脈認証装置」が7月から本格導入された。生体認証方式はいくつかあるが、なぜ手のひら静脈認証か、装置を納入したキーパーソンにその決め手を聞いた。
手のひら静脈認証、強みは「安全性」「認証精度」「受容性」
採用された富士通のPalmSecureは、操作者の認証と連動したシステムへのログインを可能にする。PCログイン認証ソフトウェア「PalmSecure LOGONDIRECTOR」をベースに専用のソフトウェアを開発し、操作者がIDを入力し、手のひらを操作者認証用の照合情報読み取り装置にかざすだけでログインできるようにした。
ICカードを不要にすることで、紛失や盗難などによる不正ログインのリスクを低減でき、ICカードの発行や管理などの業務が不要になる点が採用に至った決め手という。
「全国規模の住基ネットで本格利用が始まったことで、手のひら静脈認証が一層幅広く使われるようになる──と手応えを強く感じています」
こう語るのは、富士通で「ミスター手のひら静脈認証」と呼ばれる富士通パームセキュアビジネス推進部長の若林晃氏だ。また、今回の住基ネットの商談に携わった、同社の公共営業本部行政ビジネス推進統括部行政インフラビジネス推進部シニアマネージャーの佐藤真喜子氏と同部情報セキュリティスペシャリストの倉林宏氏も、「住基ネットをきっかけに、今後は地方公共団体が個別に運用している住民情報システム向けなどにも大きく広げていきたい」と口をそろえた。
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