リクルートの最年少役員が語る、求人サイト「indeed」買収の舞台裏:最終回・上阪徹が探る、リクルートのリアル(5/6 ページ)
外資系企業とのM&Aは難しいと言われているが、なぜリクルートは米国で生まれた世界最大の求人サイト「indeed」の買収に成功したのか。M&Aを仕掛けたのは、リクルートホールディングスの最年少執行役員・出木場久征氏。彼に当時の話を振り返ってもらった。
リクルートで得たもの
実はそうした環境づくりやエンジニア育成のノウハウを知ることも、リクルートのM&Aの目的のひとつだった。すでに人材交流も始まり、エンジニアが最高の仕事ができることを意識した日本の拠点も新たに作った。
入社からわずか13年、30代半ばにして、リクルートホールディングスの執行役員にまで登り詰めた人物だ。その点については、どう考えているのか。
「興味ないですね。ときどき『どうやったら偉くなれますか?』と聞かれることがありますが、そういうことを考えていると偉くなれないんじゃないかな(笑)。それこそ、マンチェスター・ユナイテッドで香川選手の代わりにフィールドに立てますか? ニューヨーク・ヤンキースでイチロー選手の代わりに代打に出られますか? それを決めるのは、自分じゃないわけです。大事なことは、きっちりいい仕事ができる人間を目指すこと。それから、できる人間がちゃんと活躍できる場のある会社にいることだと思います」
では、リクルートで得たものとは、何だろう。
「リクルートの強みは結局、変わっていけることだと思うんです。もしかしたら僕のようなタイプは、かつてのリクルートでは活躍できなかったかもしれない。でも、今の時代だから、求められている。そうやって会社も変わっていく。この先は、エンジニアが役員になるような時代になるでしょうね、間違いなく。僕なんかいらないというくらい変化するべきだと思いますよ」
リクルートで大きかったのは、変化と向き合う価値を、教えられたことだと語る。そしてもうひとつ、失敗することの価値だ。
「激しく失敗が多い会社ですが、だからいろんなことがやれるんだと思うんですよ。今、indeedでシニアのマネジメントに言っているのは『失敗しよう』ということです。僕ら経営陣の仕事は、失敗をマネジメントすることだ、と。孫子の兵法を読んだって、10回戦って10回勝っても何の意味もないと書いてある。負けるところから学ぶことこそ、大きな成長につながるんです」
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